抄録
糖尿病患者における好中球活性酸素産生能の低下要因について, ポリオール代謝経路との関連性をアルドース還元酵素阻害剤を用いて調べた。赤血球中ソルビトール濃度は, 糖尿病患者で健常人に比して有意に増加していた(p< 0.001)。またグルコース添加時における赤血球中ソルビトールの蓄積は, アルドース還元酵素阻害剤で抑制された。一方, 好中球からの活性酸素産生量はグルコース添加により低下したが, このグルコース添加の影響はアルドース還元酵素阻害剤により有意に抑制された。このことから好中球内でのポリオール代謝経路が高血糖時に生じる好中球活性酸素産生能の低下の1要因となっていることが示唆された。