抄録
生体で発現するさまざまな機能は, 微視的に見れば化学反応に基づいている。これらの反応にかかわる中心的な生体分子の一つであるレセプターは, ホルモンや神経伝達物質, 薬物などの特定の分子を厳密に認識するという分析化学的に見て極めて魅力的な特徴を具えている。実際, このレセプタ一のみを生体から取り出して, このレセプターの生物学的親和性に基づくアッセイ法が開発されており, これがレセプターアッセイである。このアッセイは, レセプターに対するリガンドの親和性をin vitroで調べることが可能であることから, 動物を使わなくても, ある程度生物活性についての知見を得ることができ, 近年, 医学・薬学の分野で極めて要望が高い。本稿では, この生体由来のレセプターを分析化学的に応用したレセプターアッセイについて, 著者らのかかわったベンゾジアゼピン系薬物のアッセイ系を例にして解説する。また, 併せて, 最近注目の有機高分子をべースにした人工レセプターを用いた新しい分析法についても紹介する。