【目的】人工呼吸管理を要する鈍的外傷患者における離床遅延因子を明らかにすること。【方法】2013年4月から2016年12月に人工呼吸管理を要した鈍的外傷患者257例を後ろ向きに解析した。端坐位達成をアウトカムとして,患者背景,来院時の生理学的・解剖学的因子についてcumulative incidence function(CIF) plotを作成し,Gray検定を行った。そこで影響していた因子を調整因子とし,受傷部位が端坐位達成に与える影響をFine-Gray検定により求めた。【結果】来院時の患者背景,生理学的・解剖学的因子の中では男性(P=0.029),injury severity score(ISS)≧25(P<0.001),revised trauma score(RTS)<6(P<0.001)が離床遅延に影響していた。性別,ISS,RTSを調整しても,abbreviated injury scale(AIS)3点以上の脊椎外傷(調整ハザード比0.64,95%CI 0.44〜0.94,P=0.022),AIS 3点以上の骨盤・四肢外傷(調整ハザード比0.71,95%CI 0.53〜0.95,P=0.020)は離床遅延の予測因子であった。【結論】性別,来院時RTS,ISS,AISが3点以上の骨盤・四肢外傷,脊椎外傷が離床遅延の予測因子であった。