臨床化学
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HDL-コレステロール直接法および沈殿測定法とゲル濾過クロマトグラフィーによるSlowαリポ蛋白症例の反応性の検討
日高 宏哉戸塚 実山内 一由中林 徹雄菅野 光俊勝山 努
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1997 年 26 巻 3 号 p. 143-149

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抄録

HDL-C直接法と沈殿法の相関関係で大きく反応性が乖離する検体を見出した。この検体はslow αリボ蛋白を含む高アポE血症であった。そこでslowαリボ蛋白を含む3例と健常人1例の血清検体について, 直接法と沈殿法とゲル濾過クロマトグラフィーのコレステロ上ルパターンで比較したところ,(1) HDL-C直接法と沈殿法とゲル濾過クロマトグラフィーのコレステロールパターンの定量値が一致する検体,(2) 直接法と沈殿法は一致するが, ゲル濾過のコレステロールパターンの定量値と乖離する検体,(3) 直接法と沈殿法とゲル濾過のコレステロールパターンの定量値がいずれも一致しない検体, が存在した。アポEリッチHDLまたはslowαリボ蛋白といわれる異常高分子HDLは, 少なくとも由来および物理化学的性質の異なる3種類以上が存在することが示唆された。

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