臨床化学
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小腸型アルカリホスファターゼの肝疾患における診断特性の検証
刈米 和子林 星舟加藤 正彦祖父江 富由貴齋藤 順一高笠 信之伊藤 弘美
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2006 年 35 巻 3 号 p. 273-279

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抄録

L-フェニルアラニン選択的阻害法による小腸型ALPアイソザイム測定法を用いて, 小腸型ALPと他の各種肝マーカーとの比較による診断特性の検証を行った。慢性肝疾患症例は以下の4群, 肝線維化が軽度と思われる症例 (脂肪肝, アルコール性肝障害など) を疾患分類1, 慢性肝炎 (B型, C型, 非B非C型を疾患分類2, 肝硬変 (肝細胞癌合併を含む) を疾患分類3, 他の特殊な慢性肝疾患 (原発性胆汁性肝硬変 (PBC), 特発性門脈亢進症 (IPH), 非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH) など) を疾患分類4, に分類した。ノンパラメトリック多重比較検定の結果, 疾患分類2および疾患分類3を識別可能な肝マーカーは数多く存在したが疾患分類1および疾患分類2を識別できるマーカーは小腸型ALP (P<0.05), γ-GT (P<0.005), 小腸型ALP/γ-GT比 (P<0.001) のみであった。また疾患分類2と疾患分類1の判別特性 (ROC) 分析の結果, 小腸型ALP/γ-GT比が最も効率が高く, 以下γ-GT, 小腸ALPの順であった。小腸型ALPは, 肝疾患における線維化の有無の識別に有用であり, γ-GTとの比を用いることによりさらに診断効率が上がると予測された。

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© 日本臨床化学会
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