抄録
症例は58歳女性. 発熱, 倦怠感, 四肢のしびれを主訴に前医を受診し, 敗血症性ショックと診断されて当院へ紹介受診となった. 来院時の身体所見から末梢冷感著明で, 口唇や耳, 四肢末梢優位にチアノーゼや網状斑が散在しておりコールドショックが疑われた. 検査所見からは, 多臓器障害および播種性血管内凝固障害に至っていると考えられた. 当院にて尿中肺炎抗原陽性で前医からの血液培養でも肺炎球菌が検出された. CT画像で脾臓低形成を認めた. 以上より侵襲性肺炎球菌感染症に伴うコールドショック/敗血症性ショックによる電撃性紫斑病と診断した. 来院時よりコールドショックを認識して多角的に治療を行った. 入院後7日目には急性期治療を終了し, その後四肢末梢の壊死領域の固定化を待ち, 36日目に左第5足趾のみ壊死足趾として断端形成術を施行し, 51日目にリハビリ転院となった. コールドショックを早期に認識し治療することで救命できただけでなく左第5足趾切断のみで四肢を温存できた.