抄録
肋骨骨折に対する疼痛管理は非常に重要であるが, 肋骨骨折に対する肋間神経ブロックの報告はあまりされていない. 肋間神経ブロックが有効であった肋骨骨折の4症例について報告する. 非ステロイド性抗炎症薬, アセトアミノフェン, オピオイドにて疼痛コントロールが十分ではなかった症例に対してエコー下に肋間神経ブロックを行った. エコーにて骨折部を確認, その中枢側の肋間神経周囲に局所麻酔薬を注入した. いずれの症例もブロック後に疼痛は軽減し, 鎮痛剤の増量を必要とした症例はなかった. 神経ブロックによる合併症は認めなかった. 作用機序が異なる鎮痛によるmultimodal analgesiaにより良好な疼痛コントロールが得られたと考えられる. 肋骨骨折に対する肋間神経ブロックは, 周術期の疼痛コントロール, 非手術症例における疼痛コントロールの手段の一つとして有用な可能性がある.