日本救命医療学会雑誌
Online ISSN : 2758-1055
Print ISSN : 1882-0581
症例報告
肋間神経ブロックが有用であった肋骨骨折の4例
松本 尚也森田 知佳林 伸洋山下 光坂平 英樹高岡 諒酒井 哲也
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2023 年 37 巻 p. 48-53

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抄録
 肋骨骨折に対する疼痛管理は非常に重要であるが, 肋骨骨折に対する肋間神経ブロックの報告はあまりされていない. 肋間神経ブロックが有効であった肋骨骨折の4症例について報告する. 非ステロイド性抗炎症薬, アセトアミノフェン, オピオイドにて疼痛コントロールが十分ではなかった症例に対してエコー下に肋間神経ブロックを行った. エコーにて骨折部を確認, その中枢側の肋間神経周囲に局所麻酔薬を注入した. いずれの症例もブロック後に疼痛は軽減し, 鎮痛剤の増量を必要とした症例はなかった. 神経ブロックによる合併症は認めなかった. 作用機序が異なる鎮痛によるmultimodal analgesiaにより良好な疼痛コントロールが得られたと考えられる. 肋骨骨折に対する肋間神経ブロックは, 周術期の疼痛コントロール, 非手術症例における疼痛コントロールの手段の一つとして有用な可能性がある.
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© 2023 日本救命医療学会
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