2022 年 3 巻 J2 号 p. 631-641
現在,日本全国で問題となっているコンクリート構造物の老朽化に対する対応策の1つとして,ディープラーニングによるひび割れの自動検出が研究されている.また,点検者の負担を減らすことを目的として,ひび割れの幅推定に関する研究も行われている.本論文では点検作業のサポートシステムの開発に向けてひび割れ領域の検出と幅推定を行い,それぞれの精度を検証した.具体的には,近年Transformerを用いて画像認識でも有効性が注目されているSegFormerをひび割れの領域検出に適用して,その精度をDeepLab v3+と比較した結果,特定の条件で SegFormer が有効であったことを示す.また,幅推定については領域検出によって検出されたひび割れ二値画像から行う幅推定の手法の改良を行い,正弦波画像を用いて既存手法と精度比較を行った結果,提案手法がより有効であることを示す.