AI・データサイエンス論文集
Online ISSN : 2435-9262
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  • 板倉 健太, 宮川 璃空, 堀尾 京太郎, Lin Chao, 全 邦釘
    2026 年7 巻2 号 p. 1-13
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/27
    ジャーナル オープンアクセス
    J-STAGE Data

    LiDAR (Light Detection and Ranging)により取得された橋梁の点群に対して部材の自動分類を行った.Superpoint Transformer を利用して前処理における点群のボクセルサイズの値や入力特徴量が性能へ与える影響を体系的に分析した.ボクセルサイズ0.20/0.10/0.07/0.05 m を比較した結果,Mean IoU は0.07 m で最大(83.15%)となり,0.20 m のボクセルサイズにて点群を粗くした場合は床版・高欄のIoU が顕著に低下した.加えて,先行研究と同一条件で比較したところ,Mean IoU は74.43%から83.15%へ向上し,全体として高精度な分類を達成した.さらに点群の座標から算出した形状特徴量(Linearity/Planarity/Scattering/Verticality 等)を用いAblation Study で寄与度を評価した結果,Scattering とVerticality が分類に大きく寄与していたことが示唆された.

  • 難波 宗功
    2026 年7 巻2 号 p. 14-22
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/27
    ジャーナル オープンアクセス

    迅速かつ信頼性の高い地震後被害評価は,災害対応,復旧計画,レジリエントな再建を支える基盤となる.近年,人工知能(AI)および機械学習の発展により,地上写真,UAV 画像,衛星リモートセンシングデータ,構造応答データなどの多様な情報源を統合した自動被害検出・分類が可能となってきた.一方で,実務適用においては,解釈性の欠如,信頼性の確保,データ偏在,意思決定プロセスとの統合不足といった課題が依然として存在する.本研究は,地震後被害調査におけるAI 活用について、工学的視点およびプロジェクトマネジメント的視点の両面から整理・分類し,解釈可能AI の役割に着目して考察する.本論は,説明可能性・信頼性を備えた次世代のAI 駆動型地震後被害評価・意思決定支援システム構築の理論基盤を提供するものである.

  • 北岡 貴文, 關 太博, 坂井 一雄, 阿久津 毅
    2026 年7 巻2 号 p. 23-31
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/27
    ジャーナル オープンアクセス

    建設業界では熟練技能者の減少により,経験に基づく切羽評価の技術承継が課題となっている.本研究では,熟練技術者が作成する切羽観察簿の記事データ(言語情報)に着目し,その有用性を検証した.SトンネルおよびU トンネルを対象に,記事データをBERT により埋め込み表現へ変換したANN モデルを構築し,各評価項目の切羽評価区分の推定を行った.また,言語情報の有効性を検証するための参照として,従来用いられてきた穿孔データ(MWD)のみを入力としたANN モデルとの比較を行った.その結果,記事データを用いたモデルでは全評価項目で正解率およびF1 スコアが向上し,数値・画像のみでは表現しにくい熟練者の総合判断を含む言語情報がANN 学習に有効であることを示した.

  • 東和田 真之, 全 邦釘
    2026 年7 巻2 号 p. 32-43
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/27
    ジャーナル オープンアクセス

    インフラ維持管理の高度化に向け,非定型な橋梁図面からの属性情報抽出が課題となっている.本研究では,テキストだけではなく図面等の視覚情報を直接解釈可能なマルチモーダルな大規模言語モデル(以下,LMM)とHuman-in-the-loop(以下,HITL)を融合した自動構造化手法を提案する.具体的には,正規化データベースを基盤とし,知識参照(RAG/Few-shot)とマスタ補正を組み合わせた抽出パイプラインを構築し,土木のデータベースに合わせた形で抽出するために必要な機能を比較検討し,径間ID の抽出と属性の抽出を二段階で行うTwo-Stage HITL ワークフローによる精度向上を実証的に示した.

  • 全 青青, 全 邦釘, 神長 侑磨, 平井 崇
    2026 年7 巻2 号 p. 44-59
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/27
    ジャーナル オープンアクセス

    建設デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展にともない,施工計画・安全管理に関する事前検討を高度化する手段として,デジタルツイン技術の実装が喫緊の課題として位置づけられている.本論文は,Structure-from-Motion(SfM)/ Multi-View Stereo(MVS)によるメッシュモデルと3D Gaussian Splatting(3DGS)による写実的表現を統合し,施工シナリオの高度な検討に資するデジタルツイン構築手法を提案する.本手法では,SfM/MVS により構築されたメッシュモデルを物理判定用の幾何レイヤとし,3DGSを写実的な視覚レイヤとして活用することで,高品質な視覚リアリティと相互作用性の両立に向けた設計指針を示す.実現場での撮影からシステム統合までのワークフローを体系化し,撮影・前処理条件が復元品質および処理時間に与える影響を評価した.なお,本稿の主対象は統合ワークフローと空間整合性の検証であり,物理シミュレーションおよび干渉判定そのものの定量・定性的評価は今後の課題とする.

  • 佐藤 駿介, 鈴木 脩大, 鈴木 周作, 林 健太郎, 日比野 忠史
    2026 年7 巻2 号 p. 60-68
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/27
    ジャーナル オープンアクセス

    技術論文には,港湾・海岸構造物の設計・施工に関する知見が蓄積されているが,断面図や諸元表等に設計条件や判断根拠が集約されるため,テキスト中心の検索では過去事例を参照できない.本研究では,特定の技術論文(報告書)が持つ定型的な構成を活かし,知識表現設計,検索設計,評価設計を主な貢献として,図表を扱える技術論文特化型RAG が構築された.PDF から図表を抽出する4 手法が比較され,図表caption を検索対象に含めるRAG 手法が設計された.対象資料は研究の範囲で利用・API 送信が認められたものに限定した.実務者監修の15 設問により,正確性,根拠一致性,実務有用性の観点から最終回答品質が評価された結果,図表captionと本文チャンクを併用する手法が最も高く,設計判断や技術課題対応を補助する知識基盤としての適用可能性が示された.

  • 田中 玲凰, 重松 康祐
    2026 年7 巻2 号 p. 69-80
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/27
    ジャーナル オープンアクセス

    遠隔操縦油圧ショベルは,通信遅延や身体感覚の欠如により傾斜地での転倒リスクが高い.本研究では,高速シミュレータ Genesis上に傾斜地形および障害物環境を構築し,内部状態と LiDAR 点群から生成した BEV(Bird’s Eye View) 画像を統合したActor-Critic 方策を構成し,PPO(Proximal Policy Optimization) により学習した.傾斜角を一定速度で 45°まで増加させ,到達後 10 s 維持する条件で平均をとった.その結果,障害物なしの環境では平均 850 ステップ(17 s)の姿勢維持を達成し,障害物ありの環境では,最大エピソード長 1000 ステップ(20 s)付近まで転倒を回避できた.さらに,知識蒸留により両方策を単一方策に統合し,損失の収束を確認した.

  • 伊藤 元希, 中村 亮太, 伊藤 樹
    2026 年7 巻2 号 p. 81-89
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/27
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究は,近年拡充されている都市域における点群データの利活用に向けて,点密度が低く粗密が混在する航空レーザ測量点群に対するPointNet++を用いたクラス分けへの適用性を評価した.東京都多摩地域の点群をCloudCompare で6 クラス(Building,Road,Vegetation,RailWay,Parking,ElectricWire)への分類を目的として,ラベリングし学習・推論を実施した.屋内点群を前提とする近傍探索条件に整合させるため,ネットワーク構造と学習設定を固定したまま点群スケールを調整し,Ball Query で十分な近傍点数を確保した.結果として,スケールを0.030 倍したケースで推論が安定し,mIoU,mACC,OA の各指標が最良値を算出した.点群のスケール調整は低密度航空点群への有効な前処理であり,それを用いることで,広域環境把握や防災応用に向けたセグメンテーションの実現可能性を示した .

  • 鈴木 脩大, 佐藤 駿介, 林 健太郎, 大野 正人, 日比野 忠史
    2026 年7 巻2 号 p. 90-97
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/27
    ジャーナル オープンアクセス

    港湾分野では熟練技術者の経験に依存する業務が多く,技術継承が課題となっている.本研究では,大規模言語モデル(LLM)に,構造化された外部知識を参照させるRAG の枠組みを基盤とし,Knowledge-Driven Federated DataBase(K-D FDB)型技術継承支援AI モデルを提案した.本モデルはRAG_DB(知識ベース) が,技術知識・設計ルール・施工手順を体系的に管理する構造を有する.さらに Excel を介して RDB とナレッジグラフを統合し,図面生成,数量算定,工程管理を連携させた.港湾護岸工事を対象としたケーススタディにより,断面 CAD の自動生成,工種別作業量の自動算定,工程最適化の動作を確認した.本モデルにより AI が熟練者の暗黙知を構造化知識として保持し,若手技術者が AI を介して知識を取得する技術継承の仕組みが構築された・将来的には港湾事業全体のDX 推進基盤となることが期待される.

  • 阿部 真己, 持田 史佳, 小薮 剛史
    2026 年7 巻2 号 p. 98-109
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/27
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究は,科学的根拠になるべく忠実な海洋デジタルツインを構築すべく,水質から海色を再現するための基礎的なデータ収集・観測・データ解析・モデル構築を予備的に実施したものである.(a) 水質から一定程度水色が予測可能であることを示し, (b) 光の波長別の減衰(吸収と分散)に伴って決定させる物理プロセスを表現する微分可能な物理モデルと透明度板観測結果を融合して,同じ海域でも波長別の光の減衰特性が異なる可能性があること予備的に確認した.藻類・海草・海藻などの光合成を行う生物は生育時に活用している光の周波数帯が異なるが,こういった光を利用する生物の生育環境の評価や数値予測は光量子の減衰の程度や透明度などの評価に留まっており,波長別の減衰の程度にはこれまであまり着目されてこなかった.本研究の成果は,リアルな海洋デジタルツインの構築を目指すと同時に,生物の生育環境のより正確な観測・評価手法の提案も目指した取り組みである.

  • 村田 優希, 小泉 光生, 櫻井 彰人, 岡田 有策, 若原 敏裕
    2026 年7 巻2 号 p. 110-121
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/27
    ジャーナル オープンアクセス

    多数の道路橋の老朽化が進むなか,ひび割れ点検の自動化に対する要請は一段と高まっている.このような背景から,画像を用いたセマンティックセグメンテーションによるひび割れ検出の活用が期待されている.セグメンテーションモデルの学習では,誤って陽性と判定されやすい陰性に着目するOnline Hard Negative Mining(OHNM)が,False Positive(FP)の抑制を目的として用いられてきた.しかし,モデルの検出性能を向上させるためには,ひび割れ画素の見逃しに相当するFalse Negative(FN)を抑制することも重要である.特に,ひび割れ検出においては,ひび割れ候補の見逃しを抑えることが重要である.そこで本研究では,OHNM にFN に対するペナルティを組み合わせた併用学習手法の有効性を検証する.実橋梁画像を用いた比較実験の結果,併用手法,およびFN を抑制するペナルティはIoU およびF1 スコアを改善し,対応のあるt 検定とHolm 補正によって,改善の統計的有意性を確認した.以上より,FN を抑制するペナルティは,実橋梁画像を対象としたひび割れセグメンテーションにおいて,IoU およびF1 スコアの改善に寄与する可能性が示された.

  • 室 祥太朗, 兒玉 庸平, 松本 康寿
    2026 年7 巻2 号 p. 122-127
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/27
    ジャーナル オープンアクセス

    新駅計画では,施設規模の検討や事業採算性評価のため,需要予測が重要である.本研究では,駅勢圏法に基づき,国勢調査・経済センサスによる常住人口・従業人口,モバイルICOCA 定期券データ,自動改札データを用いた新駅需要予測手法を構築した.既存駅の利用実態から距離帯別のJR 利用率を推定し,新駅の新規利用者および既存駅からの転移利用者を算出した上で,定期外利用者を加えて総利用者数を推計した.さらに,開業済み4 駅を対象に実績との比較を行い,町丁目単位および駅単位で予測精度を検証した.本手法は追加調査を要せずに新駅需要の概把握に適用可能である一方,距離帯設定,競合路線,アクセス条件の扱いが予測精度に影響することを示した.

  • 池田 陸人, 長井 宏平
    2026 年7 巻2 号 p. 128-135
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/27
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究は,将来人口動態と道路種別を組み合わせることで,橋梁の将来的な利用可能性を整理することを目的とする.500m メッシュ別将来推計人口データを用いて北海道における居住地域の空間的縮小を把握し,橋梁位置と人口データをGIS 上で統合することで,将来にわたり周辺人口が存在しないと予測される橋梁を抽出した.さらに,道路データを用いて橋梁が属する道路を幹線道路と生活道路に分類し,人口条件と道路種別を組み合わせた整理を行った.その結果,周辺人口0 人かつ生活道路上に位置する橋梁が一定割合存在し,特に道東・道北で高い割合を示すことが確認された.人口動態と道路種別を併せて評価することで,将来的に利用が見込まれにくい橋梁の分布特性を整理できることを示した.

  • 浅野 黎, 長井 宏平
    2026 年7 巻2 号 p. 136-147
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/27
    ジャーナル オープンアクセス

    人口減少下で持続可能な地域公共交通の再構築に向け,北海道市町村を対象に将来推計人口とGIS を用いた空間分析手法を横断的に適用し,鉄道・バスの徒歩圏内人口割合「公共交通カバー率」の将来変化(2025~2050 年)を定量分析した.全道のマクロ分析では,推計データの構造的特性を反映し,郊外や過疎地の無居住化が進む相対的な人口集約により,カバー率が上昇する傾向を確認した.一方,市町村別のミクロ分析により,マクロ傾向に反してカバー率が低下・横ばいとなる地域が存在することを示し,産業・地形・都市規模等の地域特性が形成する空間構造の差異が,公共交通カバー率の将来推移パターンに影響を与えることを整理した.本研究で示した広域横断的な比較と類型化は,EBPM の実践や地域特性に応じた持続可能な公共交通を構築する際の基礎知見となり得る.

  • 小島 崇, 吉田 圭介, 星原 笑里, 伊東 和彦
    2026 年7 巻2 号 p. 148-159
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/27
    ジャーナル オープンアクセス

    目視による河川の利用実態調査は,労力がかかるため期間を限定して計数が行われる.一方で河川や道路などではネットワークカメラが普及し,AI の進歩からリアルタイムに常時監視が可能な環境が整いつつある.リアルタイムに運用可能な物体検出モデルとVLM を用いた河川利用調査手法を提案した.本検討ではローカル環境で実行可能なVLM を対象として,OCR, 属性分類, 行動分析についても9 種類のVLM による推論を行い,VLM 毎に適正があり目的別にVLM を使い分ける事で,精度と推論速度を高めることが可能であることを確認した.パラソルの開閉やピックルボールのネットの設置状況といった物体の状態の判断も可能である事を確認した.省電力のGPU(Nvidia GB10)を用いた場合でも21 日分の解析を1 時間程度で実行できる事を確認した.

  • 佐々 英輝, 宇都宮 優喬, 木下 勝也, 水野 貴文, 中田 隆史
    2026 年7 巻2 号 p. 160-170
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/27
    ジャーナル オープンアクセス

    下水道設備は,老朽化と維持管理人員の減少が同時進行し,限られた財源下での日常監視の効率化が喫緊の課題である.その解決策として,深層学習による画像解析が有効であるが,撮影条件の差異や学習データの整備・モデルの更新が実導入の障壁となる.本論文では,深層学習に全面依存せず,画像の色・明度・輪郭などの低次特徴と時系列変化を組み合わせることで,モデル構築・更新の負担を低減し,実用的な下水道設備の管理を実現する手法を提案した.また,下水道管渠を対象として,単一カメラから水質異常および水位という複数の監視指標を取得し,これらを同時に把握する複合監視が有効となり得る可能性を示した.

  • 小林 巧, 武田 龍國, 大住 道生
    2026 年7 巻2 号 p. 171-178
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/27
    ジャーナル オープンアクセス

    道路橋点検における工学的規範に含まれる「著しい」や「広範囲に」のような定性的表現が,LLMの損傷判定に及ぼす影響に関する基礎的な調査を実施した.調査では生成されたテキストの分析に加え,モデル内部のSoftmax 層における確率分布に基づく分析や,内部の確率分布と外部の出力結果の一貫性を確認した.その結果,モデルサイズの増大に伴い,定性的な表現に対する最終判定分布のentropy が低下し,回答の基準文との意味類似度や一貫性が向上する傾向が認められた.比較的短い文章を対象とし,量子化されたQwen2.5 系列を用いるなど,今回の検討条件を前提とするものの,7B 以上のモデルで判定が安定する傾向が見られた.

  • 小林 巧, 藤澤 志織, 武田 龍國, 大住 道生
    2026 年7 巻2 号 p. 179-185
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/27
    ジャーナル オープンアクセス

    道路橋の定期点検や災害時の緊急調査における意思決定支援の手段として,大規模言語モデルの適用を念頭に置き,そのハルシネーションを検出する方法に関する検討を行った.本研究では,Sentence-BERT及びNLI を用いた,正解データを事前に準備しない,自己一貫性に基づくアプローチの適用性を検証した.その結果,今回の検討条件を前提とするものの,LLMの自己一貫性を想定することで事前に正解データ等を準備しなくとも,複数の回答間の専門用語の表記ゆれ,数値の違い,論理的な不整合,無関係な内容などを検出できる可能性があることを示した.一方,今回検討したアルゴリズムでは,全て同じ誤りが一貫して生じた場合は検出できないという課題もある.

  • 小林 巧, 武田 龍國, 大住 道生
    2026 年7 巻2 号 p. 186-194
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/27
    ジャーナル オープンアクセス

    ある道路橋の社会的価値は,橋梁単体の属性に帰属されるものではなく,架橋地点に固有の地理的特性,道路ネットワーク上の位置,利用形態の変遷,設計コードの更新といった社会的な文脈との相互作用によって決定されるという仮説を立て,そのうち,特に交通性に関する価値の検証を行った.併せて,膨大なデータから構造物の価値を機械的に抽出する手法を開発し,既存の定型的な定義に依らない価値の同定を試みた.結果,事前の定義を行わずとも,各橋梁が有する代替不可能な価値を客観的に抽出できることを示した.これは,ネットワーク構造上の相対的関係から価値が生成されるプロセスを実証したものである.本手法により,判断の属人性を排除した客観的かつ説明可能な意思決定支援が可能となり,実務上の行政的判断を高度化する指針を得た.

  • 武田 龍國, 小林 巧, 角川 真帆, 藤澤 志織, 大住 道生
    2026 年7 巻2 号 p. 195-208
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/27
    ジャーナル オープンアクセス
    J-STAGE Data

    大規模言語モデルを橋梁の点検・診断に活用することを想定したベンチマークの開発が必要である.本研究では,橋梁部材間の位置関係理解に関するベンチマークの開発に向けた基礎的検討として,位置関係に対応する情報がモデルの内部表現からどの程度線形に読み出し可能であるかを定量的に評価する方法を構築した.鋼4主桁の鈑桁橋の断面を対象に,上下・左右方向の位置関係をラベル化し,構築した方法により評価した.その結果,プロンプトに位置関係を明示した条件では高い推定精度が得られた.一方,明示しない条件では推定精度が低下し,特に左右方向ではランダム予測基準を下回る結果が得られた.なお,本研究で評価した線形可読性は,大規模言語モデルにおける部材間の位置関係理解の有無を直接評価するものではないことに留意する必要がある.

  • 鈴木 丈, 植木 泰博, 窪田 諭, 安室 喜弘
    2026 年7 巻2 号 p. 209-216
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/27
    ジャーナル オープンアクセス

    近年,少子高齢化や都市への人口集中に伴い,寺院による墓地管理は属人的かつアナログな手法に依存し,継承や維持が困難となり,墓の放置が深刻化している.本研究では,既設墓地を対象に,3 次元形状と属性情報を統合するBIM の概念に基づき,写真測量に基づいた墓地全体の3 次元データ化とスマートフォンで取得した3 次元データを逐次更新可能とする管理手法を提案する.点群のセマンティックセグメンテーションによる墓石領域抽出と,PCA およびICP を組み合わせた自動位置合わせにより,専門知識を要さない更新プロセスを実現した.実データによる検証の結果,再現率95.4%で墓石を自動抽出し,ノイズレベルと同等の精度で更新データとの統合が可能であり,持続的な墓地管理基盤としての有効性を示した.

  • 阿部 真己, 藤田 悠作, 栗原 颯大
    2026 年7 巻2 号 p. 217-225
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/27
    ジャーナル オープンアクセス

    顕微鏡観察による藻類の個体数計数は環境調査や水道の水質調査などで必須となる基礎的な調査手法である.このような検鏡作業にAI を適用して計数作業を自動化することは,(a) 調査を行った組織や個人による評価ぶれの防止,(b) 当該作業の省力化,(c) これまでにない規模や頻度での調査による新たな科学的発見への貢献など多くのメリットが想定できる.一方で,藻類を対象にした画像解析には様々な技術的な難しさがある.特に本研究では,鎖状群体を形成する比較的サイズの大きな藻類の群体が複雑に絡み合う中で,群体の数とその大きさを的確に計数できる手法の新規提案を試みたものである.鎖状群体でも特にらせん状の群体を形成するタイプのものが複雑に絡み合う場合に特に着目し,群体数,各群体の巻き数,各群体の長さを適切に評価できる手法の実現を目指した.見た目の特徴がよく似たらせんが絡みあう中での物体検出は古典的なインスタンスセグメンテーションやSegment-Anything モデルのような比較的新しい手法でも困難であったため,本研究ではDINOv2 と物理AIの一つであるDeepONet を融合させた本課題に特化した独自のベンチマークとモデル実装を行った.古典的なインスタンスセグメンテーション手法としてMask-RCNNを選定し,当該ベンチマークにおいてMask R-CNNのMask IoUは0.33であったのに対し,提案手法では 0.75 まで大幅に改善できることを確認した.

  • 窪田 諭, 高橋 航, 柴田 光, 安室 喜弘
    2026 年7 巻2 号 p. 226-235
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/27
    ジャーナル オープンアクセス

    都市域においては,3D都市モデルやオープンデータが公開されている.しかし,これらはデータ形式や管理方法が統一されておらず,一元的な可視化は容易ではない.さらに,既存の都市情報ダッシュボードは特定の地域や利用目的に特化しており,他都市への適用や利用者の関心に応じた利用が困難である.本研究では,特定の地域に依存することなく,多様な都市データを一元的に3次元可視化し,都市の現状把握を支援する汎用的な都市情報ダッシュボードを構築した.そのために,地理空間データ,ハザードデータと統計データを対象に,データ種別に応じた処理を施した上で,同一のダッシュボードにて一元的に可視化する環境を構築した.構築した都市情報ダッシュボードにおいて複数の都市データを可視化し,その汎用性,利便性と拡張性を検討した.

  • 曽田 康秀, 成 岱蔚, 酒寄 千展
    2026 年7 巻2 号 p. 236-245
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/27
    ジャーナル オープンアクセス

    近年,線状降水帯による豪雨災害が頻発しており,6時間先までの降雨予測精度の向上は水害軽減対策において重要な課題となっている.Adaptive Fourier Neural Operator(AFNO)によるAI大気・降雨予測モデルは推論時間が短く,降雨予測の配信遅れ時間を低減できる点で有用である.本研究では,多時刻の降雨予測を1時刻の複数チャンネルに統合する多時刻統合型AFNO降雨予測モデルを構築し,九州地方の筑後川および球磨川流域における6時間先までの降雨の予測精度を評価した.境界の影響を考慮した多時刻統合型AFNO降雨予測では,可降水量のAFNOによる予測値を入力チャンネルに加えることで6 時間先までの降水量予測精度が向上した.またNowCastNet および気象庁降水短時間予報との比較を行い,強降雨領域での降雨予測において移流型降雨予測モデルと同等の予測精度が得られることを示した.

  • 小泉 光生, 村田 優希, 櫻井 彰人, 岡田 有策, 若原 敏裕
    2026 年7 巻2 号 p. 246-253
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/27
    ジャーナル オープンアクセス

    深層学習を用いたコンクリートのひび割れ検知において,未知の橋梁に対する汎化性能の低下(ドメインシフト)が実用上の課題となっている.本研究では,ロバストな学習データ選定戦略として,推論対象と類似したテクスチャの画像を優先する「特化型抽出」と,特徴量のクラスタリングにより多様性を網羅する「均等抽出」を比較検証した.実橋梁データによる交差検証の結果,特化型抽出は特定の背景特徴に過剰適合し,未検出や過検出を引き起こす要因となることが判明した.これに対して均等抽出は,多様な背景パターンの学習により特定のテクスチャへの依存を防ぎ,未知の橋梁に対しても未検出を抑制して汎化性能を維持できることを実証した.本成果は,インフラ点検AIの信頼性を担保する学習データセット構築の有用な指針となる.

  • 重松 康祐, 伊東 和光, 衞藤 竜治, 佐藤 哲也
    2026 年7 巻2 号 p. 254-261
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/27
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究では,農業用管路の点検を目的として,遠隔操縦可能なクローラ型ロボットシステムを構築した.本システムは,カメラ映像に基づく遠隔操縦と可視画像記録に加え,LiDAR(Light Detection and Ranging)による三次元形状情報と,慣性計測装置(IMU)による姿勢補正用データの取得・記録を可能とする.さらに,特徴の乏しい管路環境を対象として,非反復走査型LiDAR を用いた停止点群蓄積とIMU に基づく姿勢補正を組み合わせたマッピング手法を適用した.熊本県内の農業用サイフォン式水路で現地実験を実施した結果,遠隔操縦による走行,映像取得,および管路の縦断形状・平面形状の概略把握が可能であることを確認した.

  • 中村 健二, 坂本 一磨, 川窪 隆馬, 今井 龍一
    2026 年7 巻2 号 p. 262-278
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/27
    ジャーナル オープンアクセス

    地域防災計画は,国の防災基本計画の改定に基づき毎年改定されており,改定作業に多大な労力を要する.先行研究では,Retrieval-Augmented Generation(RAG)に着目し,地域防災計画の記述に則した回答生成を行うRAGを構築している.しかし,防災基本計画の改定内容を踏まえた地域防災計画の改定支援は検討されていない.本研究では,防災基本計画の改定内容を整理する前処理を組み込んだRAGモデルを構築し,改定箇所と改定案を提示する.検証の結果,考案手法により,防災基本計画の改定内容の整理から改定案の提示までを一連の処理として実現でき,地域防災計画の改定作業を支援できる可能性が示された.また,最適な条件下では,既存の生成AIサービスと概ね同等の精度で改定箇所および改定案を提示できた.

  • 鈴木 脩大, 鈴木 周作, 佐藤 駿介, 後藤 成秀, 日比野 忠史
    2026 年7 巻2 号 p. 279-286
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/27
    ジャーナル オープンアクセス

    港湾土木請負工事積算基準は,現場条件の整理,施工方式の選択,必要な算定条件の確認を通じて妥当な値に至る判断手順を含む実務文書である.設計段階で必要な日当たり施工量の決定は,経験の浅い技術者には,どの施工ルートに進み,どの条件がそろえば値を確定できるのか分かりにくく,条件不足のまま値を採用する危険がある.本研究では,裏込材投入を対象に,施工方式確定,Q 式選定,係数確定,能力値選択,最終値算出を段階的に行う判断支援システムを構築した.各段階でproceed,ask,stop,candidateを返すことで,不足条件時の停止と確認要求を明示的に扱い,中間値と最終値を区別する構成とした.評価の結果,条件不足時の停止,上流判断の下流伝播,中間値と最終値の区別,および最終値の算出を確認した.

  • 高地 ほのか, 瀬谷 創, 笹井 晃太郎
    2026 年7 巻2 号 p. 287-306
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/27
    ジャーナル オープンアクセス

    下水道は現在,管渠の老朽化と限られた人的・財政的資源に起因する低い調査実施率という課題に直面している.したがって1) 下水道劣化機構の理解の促進と2) 維持管理の効率化が喫緊の課題となっている.本研究では,長年知見が蓄積している生存時間解析による劣化予測に立脚した3 ステップのアプローチにより,1),2) へ貢献することを目的とする.具体的には,ステップ1:機械学習と生存時間解析を組み合わせたSurvival Tree と結果の解釈にSHAP 値を利用した劣化要因の特定,ステップ2:Survival Tree による全管渠の生存時間予測,ステップ3:Getis-Ord Gi*統計量を用いたホットスポット分析による点検・調査の優先順位付けで構成される.本研究では,大阪市の実データを用いてケーススタディを実施した.

  • 浜崎 進, 全 邦釘, 渡邊 祥庸
    2026 年7 巻2 号 p. 307-314
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/27
    ジャーナル オープンアクセス

    道路の損傷は車両の破損,市民のケガにつながることから,事後対応から予防保全へ転換する必要がある.しかし,道路管理者の1 人あたりの業務量を勘案すると予防保全は困難で,市民の通報等により初めて損傷を発見している状況である.一方で, 小規模土工事においてスマホLiDAR が活用されている事例があり,舗装点検への応用が期待できる.さらに, LLM により舗装点検を実施することで,道路管理に係る市町村職員の業務効率化や技術的支援が期待できる.このことから本稿では,スマホLiDAR とLLMを組み合わせることで,廉価な舗装点検を実施することを目的として,ひび割れ率において精度を確認した.その結果,ひび割れ率においては健全度Ⅱ+以上の精度を確認でき,さらに人影等のノイズのあるデータを除くことにより健全度Ⅲの精度も確認でき,全ての精度について概ね満足する結果となった.

  • 竹永 靖, 郷右近 英臣
    2026 年7 巻2 号 p. 315-327
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/27
    ジャーナル オープンアクセス

    令和6 年能登半島地震で被災した能登地方では,住民基本台帳人口の継続的な減少が報告される一方で,被災後の人流動態については体系的な把握が十分に行われていない.本研究では,被災地の役場周辺5 地点(輪島市役所,珠洲市役所,能登町役場,穴水町役場,七尾市役所)を対象とし,スマートフォンGPSデータから観測された推定来訪者数の変化傾向を分析した.分析期間は被災前(2023 年4 月〜9 月)と被災後(2025 年4 月〜9 月)の同一月構成(4-9 月,n=6 vs n=6)で設定し,季節要因を統制した.分析手法は,Welch のt 検定と効果量Cohen's d,コサイン類似度,Ward 法階層クラスタリングを用い,再現性を確保した.その結果,5 地点全てで推定来訪者数の統計的に有意な増加傾向(被災前比2.47〜3.20 倍,d=2.83〜7.38,全地点p<0.01)が確認された.曜日プロファイルは被災前後で類似度0.99 以上を維持(構造的安定性),Ward 法では震度7 と大規模火災を伴った輪島市役所が独立する階層構造が抽出された(地点間差異).人口統計の減少傾向とは対照的に,役場周辺における推定来訪者数は被災前を上回っており,住民基本台帳人口のみでは把握しにくい動的な地域活動が継続している可能性が示された.

  • 足立 悠, 吉田 哲也
    2026 年7 巻2 号 p. 328-342
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/27
    ジャーナル オープンアクセス

    チャットコミュニケーションには,議論の長期化や話題の分岐・拡散など,円滑な進行を妨げる振る舞いが内在する.本研究では,対話構造をネットワーク指標に要約するのではなく,高次元関係データとして表現し,その潜在因子構造を分析する枠組みを提案する.語彙分布に基づく内容テンソル(5 次元)と,応答関係を表す応答テンソル(6 次元)を構築し,テンソル分解により内容因子および応答因子を抽出する.本研究では,炎上や攻撃的発言などの質的異常を直接検出するのではなく,スレッド長および語彙分布に関する統計的偏りを分析軸として設定し,分類タスクを因子解釈のための分析プローブとして用いる.Ubuntu Dialogue Corpus とニコニコ大百科データを用いた比較分析により,応答テンソル由来因子は内容テンソル由来因子よりも統計的異常クラスタと一貫して強く関連することを示す.

  • 下村 徹, 松野 浩枝, 鈴木 卓也, 青地 知也
    2026 年7 巻2 号 p. 343-358
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/27
    ジャーナル オープンアクセス

    交通量調査は道路計画・維持管理の基礎資料であるが、人手観測は多大な労力とコストを要する。ビデオ映像を活用した自動計測は低コスト化の有力手段であるが、カメラ揺れや車両間遮蔽により計測精度が低下する問題がある。本研究では、YOLOX 検出器とByteTrack 追跡器を基盤に、(1)IoU・サイズ類似度・距離制約を統合した揺れロバストな複合マッチングスコア、(2)二本の仮想カウントラインによる通過方向推定と重複カウント排除、(3)追跡区間内での時系列重み付きクラス再評価、を統合したAI 交通量自動観測システムを提案する。有効性の検証は二段階で行った。第一段階として、千歳市内の歩道橋からの俯瞰ビデオ映像(約2 分、GT18 台)を用いたアブレーション実験により、標準ByteTrack に対してカウント誤差率を33.3%→22.2%に改善、ID スイッチを完全解消(3→0)、方向推定精度100%を達成した。第二段階として、国道の交差点のビデオ映像(12 時間、7:00〜19:00)で人手目視観測との比較を行った結果、上り方向では人手5,301 台に対し機械5,293 台(誤差率0.15%)と極めて高い一致を示した一方、下り方向では人手5,978 台に対し機械3,707 台(誤差率38.0%)と大幅な過小計測となった。この方向間の精度差は、低俯角カメラと複数並走車線の組合せに起因する同方向内の車両間遮蔽の影響であり、本システムの適用条件と限界を明確に示すものである。本手法は画像安定化の前処理を必要とせずビデオ映像を直接入力として利用でき、遮蔽が少ない条件下では人手集計と同等精度の交通量観測が可能である。従来の人手調査が2 名以上の終日拘束を要するのに対し、本手法は初期設定後の自動連続計測を実現し、調査の省力化と高頻度化に資する。適用限界を定量的に明示し、導入前の事前評価手順を提案したことは、ビデオ映像の交通量観測への実務導入判断に資する知見として貢献となる。

  • 小西 陽登, 宮本 崇
    2026 年7 巻2 号 p. 359-366
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/27
    ジャーナル オープンアクセス

    深層学習を用いた地震被害検出上の一般的な課題として,発災後に新たな被害ラベルを整備することは時間・人的コストの観点から困難であり,未知の災害事例への即時適用性に乏しい点が指摘されている.そこで本研究では,被害ラベルを一切用いず,土地被覆のオープンデータセットOpenEarthMap のみで学習した深層学習モデルによる衛星画像のセグメンテーション結果から,建物1 棟単位の地震被害を推定する手法を検討した.具体的には,災害後画像のセグメンテーション結果のみを用いる方法(指標A)と,災害前後のセグメンテーション結果の差分を用いる方法(指標B)の2 種類を提案し,令和6 年能登半島地震・石川県輪島市の事例に適用し目視判別ラベルと比較した.あわせて,被害区分(全壊・半壊・被害なし)別の検出性能の分析,ラベル不要な代替判定ルールとの比較,およびバッファサイズの感度分析を実施し,本手法の適用範囲を明示した.その結果,本手法は被害あり建物全体に対しPrecision 0.85・F1 0.65 程度の推定性能を示し,特に火災により屋根形状が大きく失われた事例では高精度に被害を検出できる一方,屋根形状が残存する半壊や部分破壊(半壊Recall=0.05)については識別が困難であることが確認された.

  • 佐藤 拓人, 宮本 崇
    2026 年7 巻2 号 p. 367-392
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/07/27
    ジャーナル オープンアクセス

    本稿では,深層学習による衛星画像からの浸水域マッピングの精度向上を目的として,地形情報に基づく物理的補正手法の高度化について検討した.具体的には,深層学習によるSAR衛星画像からの浸水域セグメンテーション結果に対し,地形に沿った水の流れを考慮した複数の条件による補正を,日本の高解像度DEM を使用して適用した.その結果,日本で整備されているような高解像度DEM を補正の際に使用することで,深層学習手法では検知することができなかった浸水域を補正するとともに,誤検知された浸水域を減らし,IoU が最大で0.2520 向上する結果が得られた.また,浸水域の見逃しも大幅に減少した.一方で,より高解像度なDEMを使用することが補正に良い影響を与えるわけではなく,1mメッシュのDEMを用いた補正では,補正精度がむしろ低下する結果も得られた.

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