2023 年 4 巻 1 号 p. 1-11
閉区間の定義域注1)が与えられているデータからHistogramを構成する問題を考える.Histogramは定義域の左端点とビン幅(分割幅)を決めることで構築できる.しかしながら,ビン幅は定義域とは独立にデータに基づいて決定されるため,一般にHistogramの推定区間注2)は与えられた定義域の右端点を超える,または満たさない.この推定区間と定義域のずれ(ビン残差と呼ぶ)は確率密度関数の推定精度に関わる重要な問題である.ビン残差を解消する一つの方法はビン幅を補正することであるが,補正がHistogram推定に与える影響については先行研究が見当たらず,理論的に未整備な状態である.本稿では,ビン残差を各ビンに等分配してビン幅を補正する方法を提案し,その漸近的性質を示し,数値実験によって有限標本における有効性を確かめる.