2023 年 4 巻 3 号 p. 482-489
本稿では,道路附属物の画像から異状の有無を判定する手法について提案を行う.道路標識や照明などの設備である道路附属物は,その設置数と設置範囲の広大さから点検の効率化が望まれており,現在ドローンを用いた自動点検技術の実現が期待されている.ドローンより撮像される道路附属物の画像には地面や空,道路など,多様な背景が含まれているが,従来研究ではこれらの背景の多様性を考慮できていなかった.そこで,本研究ではAttention機構を導入したMultiple Instance Learningを適用した異状判定手法を構築する.パッチ分割した撮像画像を入力し,各パッチの重要度を推定することで,背景領域と道路附属物の領域を区別した異状の学習を実現する.本稿の最後では,実際の道路附属物の画像を用いた実験を行い,7割程度の分類精度を達成し本研究のアプローチの有効性が確認された.