2023 年 4 巻 3 号 p. 982-989
AI技術の発展・高度化により,社会インフラ維持管理分野へのAI応用に関する研究が活発に進められている.これらの研究の多くは,維持管理業務等で得られる画像の性質を考慮した学習理論の構築に注目しており,ひび割れ検出や変状の種類分類,劣化レベル推定等,様々なタスクにおいて,AIの有効性が示されている.一方,真に業務効率化を実現するAIを構築するためには,実務に必要な機能を備えたAIを構築する必要がある.さらに,構築したAIを高度化し,継続的に活用するためには,実務においてAI構築に適した画像を取得する必要がある.そこで,本稿では,維持管理業務等で得られる画像を対象に構築されてきた学習理論,実務に必要な機能を備えたAI構築に関する従来研究および画像の取得方法に関する著者らの考えについて紹介する.