2025 年 6 巻 3 号 p. 420-426
泥炭は有機質相と無機質相からなる重三相構造を呈し,その混合比が地盤の力学的・物理的特性を大きく左右する.しかし,有機質相の構成要素である植物遺骸は多様性があり,自然含水比の広範なばらつきをもたらしている.本研究では,地盤調査によって得られる限られた自然含水比データから,泥炭地盤における自然含水比の 2 次元空間分布を高精度に推定する手法を提案した.推定には,動径基底関数を基底とする CP(Canonical Polyadic)分解に基づくテンソル解析と,非負の確率密度関数を誤差関数とした一般化モデルを用いた.その結果,提案手法は観測データを良好に再現し,泥炭の自然含水比ばらつきを適切に表現できることが示された.