2022 年 1 巻 1 号 p. 408-417
近年頻発する豪雨により,鉄道河川橋梁においては増水に起因する災害が毎年のように発生している.本論文では,増水に伴う基礎周辺の洗掘に起因する橋脚の傾斜といった重大事象から列車の安全運行を守るため,河川橋梁の維持管理について,これまでの災害の経験を踏まえつつ,さらなる高度化の手法を検討した.まず,既往最大水位に着目した増水時の随時検査実施の目安水位の考え方を提案し,実際の増水事例を基にその有効性を確認した.さらに,詳細な検査が必要な橋梁に対して行われる個別検査として一般的に実施される衝撃振動試験について,実橋梁における計測事例を基により高度な活用方法を検討した.その結果,固有振動数に加えて減衰定数にも着目することで,橋梁における橋脚基礎の洗掘の状況をより詳細に把握できる可能性を示した.