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窪田 諭, 森本 健太, 安室 喜弘
2022 年 1 巻 1 号 p.
80-86
発行日: 2022年
公開日: 2022/03/14
ジャーナル
フリー
地方道路の維持管理において,予算と時間の削減要求や技術者の不足の課題が挙げられる.これらの課題を解決するためには,損傷や苦情発生時に道路状況を即座に確認すること,定期点検の実施間の不具合や損傷を頻繁に確認すること,および,業務知識の引き継ぎや人材育成を行うことが必要である.
本研究では,道路舗装面と道路構造物の適切な点検と維持・修繕を支援するために,市販のビデオカメラを車の前方に取り付けて路面と周辺の道路構造物を撮影し,その位置情報付きの映像を三次元可視化ソフトにて表示するシステムを開発した.道路管理者は,システムを利用し,苦情発生箇所の状況確認,損傷箇所の登録や注視すべき点の指摘などを行うとともに,知識の引き継ぎを図る.
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中村 大志, 加藤 穰, 中越 雄貴
2022 年 1 巻 1 号 p.
87-93
発行日: 2022年
公開日: 2022/03/14
ジャーナル
フリー
首都高速道路は,橋梁やトンネルなどの構造物比率が高く,きめ細かな維持管理が必要である.また,構造物の高齢化により損傷が増加していることに加え,少子高齢化の進行による生産年齢人口減少に伴い,維持管理に携わる技術者も減少することが想定される.そのため、今後も引き続き構造物の安全,安心を確保するためには,より効率的な維持管理手法を検討し実装することが必須である.さらに,災害対応においても,構造物の損傷状況などの迅速な把握が必要であり,より早く情報を収集する手段の検討と実装が必要である.そこで,首都高では,それらの課題解決のため,ICTや点検新技術を活用し,維持管理の効率化を図っている.本稿では,導入した新技術の概要や効果などについて述べる.
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野上 周嗣, 加藤 絵万
2022 年 1 巻 1 号 p.
94-99
発行日: 2022年
公開日: 2022/03/14
ジャーナル
フリー
港湾構造物の部材等の多くは海中部に存在するため,従来より,目視調査は潜水士により行われている.ただし,その実施は波浪や潮汐等の海象状況,船舶の係留や荷役作業等の施設の利用状況に左右されるため,調査の安全性の向上や施設の利用制限を軽減できる調査手法が望まれている.本稿では,近年普及している水中ドローンの港湾構造物の目視調査での活用に向けて,調査に必要と考えられる機器仕様を示すとともに,調査の工程や留意点をとりまとめた.また,提案した調査の工程に従って調査を実施し,水中ドローンによる目視調査は従来の潜水士による調査よりも調査効率に優れることを確認するとともに,円滑な調査の実施に向けて有効と考えられる調査の工夫を示した.
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小川 愛子, 岸田 こずえ, 小林 浩, 吉田 勢, 安藤 直樹
2022 年 1 巻 1 号 p.
100-105
発行日: 2022年
公開日: 2022/03/14
ジャーナル
フリー
天竜川下流では,低水の河岸侵食が発生しているが,河道内樹木の繁茂や広大な高水敷が存在し,状態把握の確認頻度の確保や迅速性・網羅性の確保等が課題となっている.
本稿では,高度な操作技術や機材,法令上の手続きが不要な範囲で実施可能なUAV(Unmanned Aerial Vehicle)を活用した河川巡視内容について,天竜川下流の河川特性等を考慮し,UAV活用が効果的な区間や撮影方法等を検証し,UAV活用による河川巡視の高度化の可能性について考察した.
また,土砂堆積や河道の経年的な変化を定量的かつ効率的に把握する技術として,UAV撮影データからオルソ画像生成しAI解析による植生域・水域・砂州を自動判別するツールの検証を行った.
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兵頭 正浩, 山室 成樹, 畑中 哲夫, 大山 幸輝, 石井 将幸, 緒方 英彦
2022 年 1 巻 1 号 p.
106-114
発行日: 2022年
公開日: 2022/03/14
ジャーナル
フリー
農業用パイプラインの耐力評価手法として内面載荷法を提案している.本手法は研究段階にあり,主に実験室レベルでの評価となっている.しかしながら800mm未満の口径が76%を占めている農業用パイプラインに本手法を適用するためには,システム化(自動化)が必須となる.本研究では,実用化に向けた自動装置の開発・改良に取り組み,埋設した健全なRC管,PVC管,FRPM管から得られる荷重と変形量の値の妥当性を検証した.その結果,PVC管とFRPM管に関しては適切にデータを取得できることがわかった.しかしながら,RC管に関しては,自動装置の載荷能力が不足しており,荷重が大きくになるにつれてデータの信頼性が低下することを確認した.以上より,自動装置の現場適用性の可能性は十分に考えられたが,自動装置の載荷能力を向上させる必要があることがわかった.
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木本 啓介, 若原 敏裕, 金氏 眞, 藤井 優, 黒田 保
2022 年 1 巻 1 号 p.
115-124
発行日: 2022年
公開日: 2022/03/14
ジャーナル
フリー
内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「インフラ維持管理・更新・マネジメント技術」では土木インフラの維持管理・更新・マネジメントに役立つ新技術が開発され,実用されている技術が多々ある.これらの新技術を地域へ普及展開するため,地域の大学を中心とする地域実装支援チームが全国に12チーム組織された.その1つである鳥取大学チームは,4つのロボット技術の適用性を検証する江島大橋での実証試験「江島大橋プロジェクト」を実施した.江島大橋プロジェクトでは,地域の橋梁点検への新技術の導入を目的として,ロボット技術開発者と地元建設コンサルタントが協働するとともに橋梁点検業務発注のための仕様書や積算の基礎資料を作成した.
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岩政 瞳, 片山 英資, 山本 民夫, 渡邉 正俊
2022 年 1 巻 1 号 p.
125-133
発行日: 2022年
公開日: 2022/03/14
ジャーナル
フリー
近年,我が国は開発途上国に対し,道路・橋梁の維持管理能力の向上・強化を目的とした技術協力を多く実施している.多くの開発途上国は人,物の移動を道路交通に依存しており,その中で橋梁は道路ネットワークにおける重要構造物であり,橋梁点検・補修技術の普及,維持管理計画策定を目指した活動はその国に広く裨益する.しかしながら,開発途上国は維持管理計画を策定する上での基礎データとなる台帳類が未整備であること,これまで橋梁点検が実施されていないことが一般的であり,技術協力の開始時点において維持管理の対象となる橋梁の状態が把握されていない.本論文では,中央アジアに位置するタジキスタン共和国運輸省の橋梁維持管理の課題を述べ,橋梁データベース構築に向けて試行したベースライン調査の結果を述べる.
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河尻 留奈, 橋本 啓汰, 深田 宰史, 青山 敏幸, 鳥居 和之
2022 年 1 巻 1 号 p.
134-143
発行日: 2022年
公開日: 2022/03/14
ジャーナル
フリー
高速道路リニューアル事業の一環で,RC床版の取替え工事が実施されている.北陸自動車道では,凍結防止剤による塩害とASRによる複合劣化が発生しており,それぞれの発生状況を正確に見極めて,橋梁の維持管理計画を決定することが重要である.そこで本研究では,金沢市内の高速道路高架橋RC床版を対象として,RC床版から採取したコアにより塩分浸透量およびASR劣化度を調べるとともに,新しいタイプの電気防食工法の腐食緩和効果について検証した.その結果,本橋梁のRC床版では,ASRによる劣化は発生しておらず,凍結防止剤の浸透による鋼材腐食のみが確認できた.このため,流電陽極式腐食緩和工法を試験的に採用した結果,鉄筋腐食が発生したRC床版の延命化対策としての効果を確認できた.
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橋本 啓汰, Ngo Le Hoang Minh , 河尻 留奈, 青山 敏幸, 深田 宰史, 鳥居 和之
2022 年 1 巻 1 号 p.
144-152
発行日: 2022年
公開日: 2022/03/14
ジャーナル
フリー
劣化したRC床版の増加に伴い,今後効率よく維持管理を行っていくためには,各床版の剛性や耐荷力等を定量的に把握し,優先度の高いものから措置を行う必要がある.そこで本研究では,北陸地方の凍結防止剤によって塩害劣化したRC床版を対象に,車両走行試験による床版のたわみ計測と一般車を対象とした走行荷重計測を行い,現状の床版の剛性と耐荷力の評価を試みた.車両走行試験で得られた床版たわみの実験値と様々な劣化パターンを模擬した解析値を比較した結果,対象床版の剛性は設計値に比べて低下していることが確認された.また,有限要素解析で算出した床版の耐荷力は,走行荷重計測により推定した一般車の最大荷重を上回っていたものの,健全時と比較すると大きく低下していることが推察された.
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青木 聡, 染谷 厚徳, 山本 一貴, 蔵治 賢太郎
2022 年 1 巻 1 号 p.
153-162
発行日: 2022年
公開日: 2022/03/14
ジャーナル
フリー
建設後40~50年間供用されたコンクリート床版は,舗装打ち換え時に切削機によって床版上面が削られ,床版内部に雨水等の劣化因子が浸入しやすい状況になっている.対策として床版の上面にSFRCを増厚する工法が採用されているが,施工に必要となる移動式プラント車の確保が困難になっていること,増厚したSFRCが既設床版との層間で剥離する事例が報告されている.本研究では移動式プラント車を使用することなく上面増厚の施工が可能となる乾式吹付け工法を応用した施工法と,既設床版との剥離が生じない超速硬型ポリマーセメントモルタル材料を開発した.
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竹林 宏樹, 高橋 茂樹, 加藤 亮, 馬場 弘毅
2022 年 1 巻 1 号 p.
163-172
発行日: 2022年
公開日: 2022/03/14
ジャーナル
フリー
高速道路では,供用年数の経過とともにアスファルト舗装の路盤からの厚層打換補修を実施する箇所が近年増加している.このような状況を踏まえて,我々は全国的な開削調査を行った.その結果,アスファルト舗装にはアスファルト安定処理路盤に生じた疲労ひび割れや下層路盤の永久変形といった損傷とともに,雨水の浸透による下層路盤の脆弱化やアスファルト混合物間の層間接着の消失が明らかになった.アスファルト舗装の長寿命化を図る上で,雨水の浸透を抑制することと,層間接着力を高めることは重要であり,かつ最もシンプルな対策方法である.しかし,これらの手法を適切に評価できる手法はまだ確立されていない.そこで,アスファルト舗装に生じるコールドジョイントに対して,変状を生じさせる原因を再現した試験を用いて各種材料の評価を行った.コールドジョイントのうち縦継目については,それぞれの材料によって異なる特性が確認された.一方で,施工層間については,実道で見られた水による付着切れを再現した新たな試験を考案し,現在使用されている数種類のタックコートの評価を行った.本報告では,縦継目について評価の結果に基づき接着性と止水性に優れる材料の適用を技術基準化した取り組みと,施工層間については試験結果から明らかになったタックコートの課題について報告する.
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渡辺 佳彦, 野村 倫一, 荒巻 智, 柏原 茂
2022 年 1 巻 1 号 p.
173-179
発行日: 2022年
公開日: 2022/03/14
ジャーナル
フリー
1999年に山陽新幹線の高架橋等においてかぶりコンクリートの浮きが目立つようになり,コンクリート構造物の早期劣化が「山陽新幹線コンクリート問題」として社会問題化した.これを契機に,将来にわたって健全な状態で維持管理していくために必要な補修工法の適用の考え方を整理し,補修工事の品質向上等に活用することを目的として,各補修工法に関しての留意点を取りまとめた手引きを作成し活用してきている.本稿では,山陽新幹線高架橋等の補修に用いてきた表面被覆材料および断面修復材料の長期暴露試験等による性能確認と補修効果の検証について報告する.
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宮原 茂禎, 大脇 英司, 藤野 由隆, 伊藤 智章
2022 年 1 巻 1 号 p.
180-188
発行日: 2022年
公開日: 2022/03/14
ジャーナル
フリー
我が国の下水道施設のコンクリート構造物は標準的な耐用年数である50年を超え始め,改修や改築の需要が増加すると予測される.また,微生物が生成する硫酸により激しく腐食し,早期の補修が必要な場合もある.限られた財源や人員のもとで下水道サービスを継続するには,硫酸に対する抵抗性を高めてメンテナンスフリーや長寿命化に貢献する耐硫酸性をもつコンクリートの開発が望まれる.腐食速度を通常のコンクリートの1/10以下にした耐硫酸コンクリートと,その品質を発揮させる施工法と設計法を開発し,適用を開始した.施工後7年間の追跡調査で一連の開発が適切であったことを確認した.適用事例から試算したライフサイクルコストは在来工法の約半分となった.下水道運用の制約の中でコンクリート構造物に有効なメンテナンス技術を確立できた.
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林 大輔, Weikun Zhen , Yaoyu Hu , Yu-Jhe Li , Soji Yamakawa , Sebastian S ...
2022 年 1 巻 1 号 p.
189-195
発行日: 2022年
公開日: 2022/03/14
ジャーナル
フリー
省力化を目的にインフラ構造物の点検にロボット・デジタル技術が積極的に使われ始めている.本研究では,インフラの点検評価の高度化を目的として,デジタル画像などの計測データから3Dモデルを生成し,最終的にFEMモデルに変換してシミュレーションにより性能評価を行うインフラ点検評価システムを構築した.構築したシステムの技術成立性を確認するため,RC梁試験体を対象に検証試験を実施した.ステレオカメラとLiDARを組み合わせたSfMにより高精度の点群モデルを生成し,さらに点群の形状を分類することで点群モデルから幾何形状を有する3Dモデルに変換した.3Dモデルから変換して生成したモデルによるFEM解析より,試験体レベルで構造性能を評価できることを確認した.
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鶴田 雄一郎
2022 年 1 巻 1 号 p.
196-201
発行日: 2022年
公開日: 2022/03/14
ジャーナル
フリー
JR東日本管内では,2003年度から列車と保守用車の衝突防止対策として保守用車の短絡走行が開始された.在来線で短絡走行をするには,踏切への影響を考慮しなければならない為,保守用車用短絡器(以下,LPF)を開発し,低周波軌道回路及びATOS線区の保守用車に順次導入してきた.しかし,LPF走行にも関わらず踏切が鳴動する事象が発生しており,原因の特定に至っていない.そこで,本研究では保守用車のLPF走行時における踏切鳴動の原因を解明することを目的に,これまで基地線や営業線での短絡走行による再現試験,LPFの性能を確認するための工場内試験を実施した.さらに,踏切鳴動が発生した際,LPF内の電気的性能が変化していないか直接確認出来るようモニタリング装置を開発し,保守用車へ取付けた.
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山﨑 正敏
2022 年 1 巻 1 号 p.
202-206
発行日: 2022年
公開日: 2022/03/14
ジャーナル
フリー
青梅線東青梅~青梅間は年間の列車通過トン数が26百万トンと列車本数の多い単線区間である。同区間では、軌道の耐力向上を目的に2016年度から2020年度にかけて50Nレールから60kgレールに交換する重軌条化工事及びそれに伴う付帯工事を実施した。工事区間には連接軌道構造の踏切道が2箇所、総研型踏切舗装版構造の踏切道が4箇所介在している。特に連接軌道構造の2箇所は、急曲線中に介在している幅員の広い踏切道であり、踏切部のレールと連接ブロックを同時に60kgレール化することが困難であり事前に60kgレール用連接ブロックに交換する必要がある等課題が多かった。ここでは、連接軌道部を中心に施工方法検討から実際に行った施工方法を紹介する。
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小林 聡一, 原田 泰彦
2022 年 1 巻 1 号 p.
207-212
発行日: 2022年
公開日: 2022/03/14
ジャーナル
フリー
中央本線下り松本踏切付近にて,2019年度の列車動揺検査(上下動揺)で7回の基準値超過(全振幅0.25g以上)が発生した.上下動揺の基準値超過が発生後の修繕は総つき固めが主な施工となり,基準値超過を抑制するためには抜本的な施工が必要と考えられる.構造物前後の列車動揺の抑制のための施工の一つに,PCマクラギの下面に弾性材を取り付けた弾性PCマクラギへの交換がある.しかし,弾性PCマクラギと列車動揺の推移に関する知見は確認できなかった.そこで本研究では,列車動揺検査における基準値超過が繰り返し発生している箇所に対して,踏切前後に弾性材付きPCマクラギを敷設した際の状況を確認すると同時に,繰り返し修繕を実施していた際の施工費用と比較してどの程度の優位性があるかを検討した.その結果,列車動揺の抑制に弾性材付きPCマクラギは有用であることがわかり,長期的な目線ではコストダウンに繋がることがわかった.
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福澤 樹, 魚地 眞道, 伊藤 壱記, 桃谷 尚嗣
2022 年 1 巻 1 号 p.
213-217
発行日: 2022年
公開日: 2022/03/14
ジャーナル
フリー
TC型省力化軌道は,まくらぎ下のバラストをセメント系てん充材で固定化した軌道構造であり,つき固め等の補修作業を必要としないことを目的に開発され,敷設が進められている.その多くが良好な軌道状態を保っているが,一部の箇所では軟弱な路盤上に敷設されており,高低変位(レール上下方向の変位)の進みが大きく,保守に苦慮している.そこで,てん充層下の路盤改良を目的とした,あとてん充工法を営業線で施工し,施工性および営業線条件下での基本性能について確認した.
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羽田野 英明, 川瀬 真弓, 溝部 美幸, 六郷 恵哲
2022 年 1 巻 1 号 p.
218-225
発行日: 2022年
公開日: 2022/03/14
ジャーナル
フリー
SIPインフラ地域実装支援活動の経験をもとに,インフラメンテナンス分野において地方自治体等での新技術の活用(地域実装)を進める際に役立つ基本的な考え方や工夫例を示す.新技術の地域実装では,行政と民間の直接の協力が難しいという背景があるため,大学研究者の支援が有効である.このような経験を踏まえ,跨線橋の点検に関して,鉄道管理者や跨線橋点検者から聞き取り調査等を行い,夜間の限られた時間内に実施されている跨線橋点検の現状と課題についてまとめる.その結果から,跨線橋点検の効率化のための工夫や新技術開発の要件を整理し,そのイメージ例を示すとともに,パノラマウォークスルー技術の活用を取り上げる.さらに,調査結果やイメージ例を用いた今後望まれる取り組みの例を示す.
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林 豪人, 伊藤 友哉, 小浪 岳治
2022 年 1 巻 1 号 p.
226-231
発行日: 2022年
公開日: 2022/03/14
ジャーナル
フリー
補強土壁の主要な構造部材の一つである補強材は土中に埋設されており,その損傷,破断,過緊張等の異常を外観から確認することが容易ではないことが,補強土壁の維持管理上の課題となっている.そこで筆者らは補強材の診断を可能とするため,多数アンカー式補強土壁の補強材の一端を壁面の前面に突出させる構造を有する補強材診断対応型壁面材を開発した.その壁面材を実現場の多数アンカー補強土壁に適用し,実際に部材として機能している補強材を対象として衝撃弾性波法,超音波探傷及びリフトオフ試験を実施し,複数年に渡って補強材の破断や張力の計測を行ってきた.その結果,各計測手法には適用限界があり適切に使い分ける必要があるものの,補強材の状態を壁面前面側から診断することが可能であることが分かった.
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椎谷 早紀, 吉岡 健, 小林 晋吾
2022 年 1 巻 1 号 p.
232-240
発行日: 2022年
公開日: 2022/03/14
ジャーナル
フリー
塩害劣化が顕在化している火力発電所揚炭桟橋の上部工を対象として,維持管理の合理化を図った.まず,原設計レビューとして3次元有限要素法による静的解析および動的解析を実施し,より正確な構造性能の実力照査を行った.続いて,各部材の構造性能低下を予測し,将来の保有性能を評価した.予測にあたり,進展期の終わりまではマルコフ連鎖モデルによる統計的予測,加速期以降は塩害の理論的予測を組合わせることにより,鉄筋腐食量としての推定手法を提案した.これにより,従来の劣化度という定性指標に代わり,構造性能という定量指標によって補修箇所や補修時期を決定することが可能となる.
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小柴 孝太, 村上 桂山, 清野 泰弘, 角 哲也
2022 年 1 巻 1 号 p.
241-250
発行日: 2022年
公開日: 2022/03/14
ジャーナル
フリー
近年ダムの高齢化や気候変動に伴い貯水池の堆砂が進行し,ダムの正常な治水・利水機能が脅かされている.各ダムに対して適切な堆砂対策を講じることは喫緊の課題であり,そのためには貯水池の調査・観測が必要不可欠である.中でも特に基本的な調査が堆砂の量・形状・平面分布の取得である.堆砂調査の主要な手法は,シングル・マルチビームといった音響測深法である.しかし,水中に複雑な形状をもつ貯水池の深浅測量では誤差の発生が不可避であり,その証左として負の堆砂量がある.本論文では,音響測深の原理に基づき負の堆砂量が発生する理由を述べる.また,全国の国土交通省・水資源機構管轄のダムの堆砂率データを解析し,負の堆砂量の発生状況をまとめる.そのうえで,可能な限りコストを抑えつつ高精度な測量を行う方法,計測データの補正を行う方法について検討する.
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植野 芳彦
2022 年 1 巻 1 号 p.
251-260
発行日: 2022年
公開日: 2022/03/14
ジャーナル
フリー
インフラメンテナンスの時代において, 橋梁の維持管理・更新を取り組むにあたり,財源や人員などの資源不足を考慮し,新たな仕組みを構築することが重要である.中でも橋梁付属物である伸縮装置は過酷な環境に設置され,橋梁本体や支承の劣化を抑制する重要な役割を担う.あまり真剣にはかんがえられてこなかった, 維持管理において伸縮装置の交換時などに最適な製品選定ができるよう,要求性能と定量的な設定根拠を採用基準(案)として定め,他部材への影響を最小限にとどめ,再劣化の抑制及び結果的なコスト縮減, 生産性向上を図った事例を報告する.
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波田 雅也, 山﨑 彬, 牛島 栄, 蔵治 賢太郎, 松原 拓朗, 右高 裕二, 山本 一貴
2022 年 1 巻 1 号 p.
261-268
発行日: 2022年
公開日: 2022/03/14
ジャーナル
フリー
筆者らは,完全剛塑性型の履歴特性を有する“ダイス・ロッド式摩擦ダンパー”を橋梁構造物の上下部接続部に設置することで,レベル1地震動に対して固定支承の条件を満たし,レベル2地震動により生じる慣性力を一定値以下とし,橋脚の損傷を制御する橋梁耐震技術を提案している.本論文では,その技術概要について述べた後,本技術を実際の橋梁耐震補強工事に適用した事例について示す.当該工事では,レベル2地震動時における橋脚基部の応答曲率が補強前に比べて約6割低減する等の補強効果が得られた.また,当該工事で適用した1,000kN級摩擦ダンパーに対して実施した高速載荷実験の結果,摩擦ダンパーが設計時に想定した通りの履歴特性とエネルギー吸収性能を発揮することが確認された.
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河村 圭亮, 畑 明仁, 土屋 正彦, 岡本 晋
2022 年 1 巻 1 号 p.
269-277
発行日: 2022年
公開日: 2022/03/14
ジャーナル
フリー
施工条件に制約がある場合でも適用可能で,鉄筋コンクリート構造物のせん断耐力を増加させる後施工プレート定着型せん断補強鉄筋を用いた耐震補強技術を2005年に開発した.それ以降,各種ニーズに応じて適用範囲拡大の取り組みを継続してきたが,その度に技術の実証に必要と考える実験は欠かすことなく実施してきた.その結果,これまでに約1,000件のインフラ施設で本工法が適用され安全性向上に貢献しているが,現在も新たな用途での適用を見据えた研究開発を積極的に行っている.また,特に重要視している施工の高い信頼性を維持するために,工法研究会を設立して組織的に人材教育を行っている.
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丹羽 雄一郎, 池頭 賢, 木村 元哉, 七村 和明
2022 年 1 巻 1 号 p.
278-287
発行日: 2022年
公開日: 2022/03/14
ジャーナル
フリー
鋼鉄道橋Iビームの支点首部の疲労き裂対策は,従来から桁取替が妥当な対策と考えられてきたが,桁取替は施工労力やコストが大きいことや,施工条件の制約から桁取替の実施自体が難しい場合もあることから,桁取替以外の簡易な対策が求められる.本研究では,実橋調査によりIビーム支点首部のき裂発生原因を確認し,FEM解析および実橋試験施工により桁取替以外の有効かつ簡易な対策の検討を行った.さらに,ストップホールの疲労評価により,検討した簡易対策の疲労耐久性を示すとともに,簡易な沓座補修方法として沓座注入を組み合わせることで,Iビームの支点首部の疲労き裂対策を整理し提案した.
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堀 謙吾, 塚田 啓二, 久積 和正
2022 年 1 巻 1 号 p.
288-296
発行日: 2022年
公開日: 2022/03/14
ジャーナル
フリー
鋼製構造物のメンテナンスにおいて,各部材の残存板厚を把握することが構造物の現在の状態および将来に向けた補修・補強および更新を計画するうえで極めて重要になる.しかし,従来の板厚測定方法である超音波厚さ計やマイクロメータを使用する場合,事前準備として錆部の除去が必要となり,また水中部での測定が困難になるなど,作業手間や環境条件により制約を受ける.そのような問題を解消するための新たな非破壊検査技術として,鋼材内部にまで浸透させた渦電流から板厚を検知する極低周波渦電流探傷法(ELECT)による長期供用中の鋼製構造物の腐食部残存板厚測定を試みた.その結果,従来の測定方法と同等の測定精度を得るとともに,錆等の腐食物の除去が必要無い利点を活かした大幅な測定時間の短縮が実現できることを確認した.
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大西 泰生, 石川 敏之, 塚田 啓二
2022 年 1 巻 1 号 p.
297-305
発行日: 2022年
公開日: 2022/03/14
ジャーナル
フリー
本論文では,高感度磁気非破壊検査(ELECT)を用いた鋼製橋脚の地際下腐食の検出を目的として,断面欠損を模擬した板厚12mm,19mmの鋼板に対して,ELECTによる断面欠損の検出の評価を行った.その結果,板厚が12mm,19mmの場合も,地際部から10mm程度下の範囲において,残存板厚が50%程度以下であれば,信号強度が大幅に低下した.残存板厚が75%の場合,地際部から10mmの位置の差分の信号強度の低下が小さいが,地際部から鋼製橋脚軸方向に数か所計測し,低周波の差分の信号強度から,鋼製橋脚の地際下腐食を検出できると考える.ELECTの計測の裏側に欠損が生じた場合に対しても,残存板厚が50%以下の場合に差分の信号強度の変化から腐食を検出できることを明らかにした.
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関屋 英彦, 高木 真人, 三上 貴仁, 森近 翔伍
2022 年 1 巻 1 号 p.
306-311
発行日: 2022年
公開日: 2022/03/14
ジャーナル
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大雨による河川氾濫や内水氾濫に対し,適切なタイミングにて水防活動や避難行動を開始するためには,大雨時における水位データの取得が重要である.特に内水氾濫に対する分析を実施する場合,異なる複数箇所における水位データを取得することが望ましい.多点にて計測を実施する際,設置の容易な施工性に優れた計測システムが求められる.そこで本研究では,非接触型センサであるレーザー式センサと超音波式センサを用いた水位計測を実施し,その特徴を考察した.非接触型センサは,河川内への立ち入りを不要とし,施工性の向上に寄与することができる.水位計測では,静止した状況と水路内を流れている状況の2つの状況にて実施し,計測データのバラつきに違いがあるものの,どちらのセンサも河川における水位変化を計測できる可能性が示された.
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渡邊 綾介, 吉田 尚
2022 年 1 巻 1 号 p.
312-321
発行日: 2022年
公開日: 2022/03/14
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JR東日本は,将来の労働人口の減少を見据えた仕組みづくりに挑戦しており,ICT等の先端技術を活用した技術革新に取り組んでいる.その一環として,線路の状態を遠隔監視できる線路設備モニタリング装置を実用化し,本格導入を果たしている.本装置の導入により,線路保守の分野でCBM(Condition Based Maintenance)型のメンテナンス手法を取り入れ,線路設備の異常の早期発見や,設備点検の効率化,データ分析に基づく保守計画の最適化等,様々な効果が得られている.
本稿では,本装置の開発から実用化と,将来に向けた取り組みについて紹介する.
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深田 宰史, 鳥居 和之, 北田 昌之, 高田 充伯, 浦 修造, 笹谷 輝彦
2022 年 1 巻 1 号 p.
322-328
発行日: 2022年
公開日: 2022/03/14
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本研究で対象とした4径間連続有ヒンジPCラーメン橋は,能登半島を縦貫する石川県の第一次緊急輸送道路となっている「のと里山海道」に架設され,現在43年経過している.対象橋梁では,ASRによるひび割れの進展傾向を把握することに加えて,特殊なゲルバーヒンジ構造を有する橋梁であるため,橋梁全体としての変位や傾斜角の挙動を産学官連携体制のもとで2015年から遠隔監視している.本論文では,橋台およびゲルバーヒンジ部の支点変位,ヒンジ部の傾斜角の挙動などについてモニタリングデータをもとに傾向を分析した.その結果,ヒンジ部の支点は,十分に機能しており,年度ごとの傾斜角の傾向も大きな変化がなく,桁内のひび割れについても大きな進展がないことを明らかにした.
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水谷 亮勝, 青木 聡, 小野 貫太郎, 前島 拓, 門 万寿男, 岩城 一郎
2022 年 1 巻 1 号 p.
329-336
発行日: 2022年
公開日: 2022/03/14
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本研究はRC床版の劣化度評価に対し,輪荷重走行試験により光ファイバーセンサを用いたモニタリングの適用性について検討した.輪荷重走行試験では,新たな載荷方法として実交通荷重に近い荷重を載荷させた.計測は光ファイバーセンサによるひずみ振幅と,従来の劣化指標であるたわみ,ひび割れ密度,および床版内部の剛性の低下を把握できる共振周波数とし,ひずみ振幅とその他の劣化指標との関係を評価した.試験の結果,ひずみ振幅は押抜きせん断破壊までの床版の劣化を検知でき,たわみ,ひび割れ密度,および共振周波数との相関が高かったため,床版内部の剛性の低下を検知し得る可能性を示した.またレインフロー分析により,実橋にランダムな荷重が作用した場合の床版の劣化度を評価し得る可能性を示した.
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町口 敦志, 水野 英夫, 赤坂 利勝, 杉本 敦, 安藤 正幸, 浦田 孔二, 喜多 敏春
2022 年 1 巻 1 号 p.
337-344
発行日: 2022年
公開日: 2022/03/14
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近年の橋梁の老朽化等に伴い,自治体における定期点検や計画的修繕の予算確保が課題となっている.本論文では,七尾市の点検コスト縮減と安全管理の両立を目的に著者らが開発したAI橋梁診断支援システムを活用した点検方法(AI簡易点検の導入,DX)を検討した.実証実験を行った結果,AIは技術者の正答率と考える80%を超える86.4%の正答率を確認した.また,AI簡易点検の導入により,点検単価は従来の65%になると試算された.一方で,点検内容の簡素化に伴う懸念事項が確認されたため,AI簡易点検の対象橋梁の選定やマニュアル作成等の対策を行った.この成果を踏まえ,次年度よりAI簡易点検を運用した結果,健全度は92.9%,劣化要因は96.4%の正答率を確認し,運用後の評価並びに今後の課題を整理した.
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木下 義昭, 濵村 秀亮, 中村 秀明
2022 年 1 巻 1 号 p.
345-355
発行日: 2022年
公開日: 2022/03/14
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わが国の道路のうち市町村道の供用延長は約84%を占めており隅々まで拡がっている.市町村は技術系職員の不足や財源不足を抱えており,多方面での業務省力化が求められている.一方,道路整備・維持管理における現況交通量の計測は重要な基礎資料の収集である.本稿では,財源不足と技術系職員不足を抱える地方公共団体のうち玉名市役所を事例とし,直営の交通量調査の問題点を分析するとともに,限られた資源(職員・予算)の制約下で業務改善を図るため,トレイルカメラ(赤外線検知カメラ)を用いた簡易交通量調査を実践する.この実践結果を踏まえた上で更なる課題を抽出し,人工知能を用いることで業務省力化を図るローテクとハイテクを融合させた簡易交通量調査について述べる.
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角田 賢明, 鎌形 勇樹, 岡田 一哉, 杉山 登
2022 年 1 巻 1 号 p.
356-362
発行日: 2022年
公開日: 2022/03/14
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下水道の普及に伴って,管路施設ストックは増加傾向にも関わらず,人口減少による下水道収入の減少及び下水道維持管理に関わる自治体職員数の減少など,厳しい社会的課題がある.また,標準耐用年数の50年を経過する下水道管渠が今後増加していくことに伴い,それらに対する修繕・改築といった老朽化対策の要否を判断するために行う詳細調査のニーズが高まることが予想されているが,現場では調査・診断業務を行う熟練技術者の不足等が大きな課題となっている.
そこで,展開図化式テレビカメラ調査の効率化を実現するソフトウェアを開発した.本ソフトウェアはAIを活用し継手や取付管について90%以上の性能で自動検出ができるようになった.また,展開図作成,損傷判定,報告書作成までワンストップで業務を完結でき,大幅な作業時間の短縮を実現することが可能となった.
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小堀 俊秀, 二階堂 良平, 松下 智祥, 金銅 将史
2022 年 1 巻 1 号 p.
363-371
発行日: 2022年
公開日: 2022/03/14
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ダム維持管理における安全管理では,目視等での点検とともに漏水量,変形等の各種計測データの監視が異常検知のための基本的かつ重要な手段となっているが,長期供用ダムが増加する中,経験豊富な熟練職員は減少している.このような状況に対応し,将来にわたり管理者がダムの異常有無の判断を的確に行えるよう,各種計測データを一層有効活用していく工夫が必要と考えられる.
このため,本研究ではダムの管理者による異常有無の判断支援を目的としたAI技術の活用可能性について,コンクリートダム堤体変位の時系列データを対象に試行的検討を行った.その結果,再帰型ニューラルネットワークの一種であるLSTM(Long Short Term Memory)の活用が期待できる結果が得られた.
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齊藤 駿, 藤生 慎, 福岡 知隆
2022 年 1 巻 1 号 p.
372-377
発行日: 2022年
公開日: 2022/03/14
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橋梁定期点検要領が策定されたことで近接目視による橋梁の定期点検が法定化された.しかし,対象となる橋梁は全国に約70万橋存在し,技術者の不足や点検費用の捻出が課題となっている.維持管理における省力化を目的として橋梁3Dモデルを導入する研究が行われており,VR(Virtual Reality)を用いた手法では,交通や天候等の現場環境の影響を受けずに点検の疑似体験をすることができる.また,人の目では観測しづらいひび割れなどの損傷をモデル上に強調表示することによって点検を支援することができると考える.そこで本研究では,橋梁3Dモデル上にAIによるひび割れの強調表示を反映させ,損傷箇所の確認を容易にした橋梁3DモデルをVR空間上で観察するシステムを開発した.
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諏訪 太紀, 藤生 慎, 森崎 裕磨, 福岡 知隆, 石塚 久幸, 田中 尚人, 多田 完人
2022 年 1 巻 1 号 p.
378-385
発行日: 2022年
公開日: 2022/03/14
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モルタル吹き付けのり面は高度経済成長期に多く施工され,老朽化が一斉に進んでいる.モルタル吹き付けのり面の変状のうち,浮きについては,目視により確認することは困難であり,打音検査により確認される.しかし,点検技術者の不足,国や地方自治体の財政難などの状況下において,今後打音検査のみによる浮きの診断を継続的に行うことには限界がある.本研究では赤外線画像を用いた深層学習により浮き部の自動検出モデルを二種類構築した.結果として,浮き部周辺の特徴を考慮することが出来るmodel-2は浮き部を適切に検出することが可能であり,その性能はメッシュサイズに依らないことが明らかとなった.
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中村 秀明, 山本 拓海, 青島 亘佐
2022 年 1 巻 1 号 p.
386-393
発行日: 2022年
公開日: 2022/03/14
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橋梁やトンネル等については,近接目視による5年に1回の定期点検が法律で義務づけられており,技術系職員の不足や財源不足を抱えている市町村には大きな負担となっている.そこで,目視点検の省力化および効率化が求められている.本研究では,この課題を解決するため,デジタルカメラにより取得した画像に対して深層学習によるセグメンテーション手法を適用し,変状領域の自動抽出を行う手法について検討を行った.また,実際のコンクリート橋で撮影された変状画像を用いた検証により,物体検出とセグメンテーションを組み合わせた2段階処理が,変状領域の自動抽出に有効であることを確認した.
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関 和彦, 岩佐 宏一, 堤 洋樹
2022 年 1 巻 1 号 p.
394-401
発行日: 2022年
公開日: 2022/03/14
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今後の人口減少,少子高齢化により,労働人口の減少は熟練を有するインフラ点検技術者の不足を招くことは必至である.さらに点検技術者の減少と反比例して構造物の老朽化が加速している.限られた予算,技術者で効率的に最適な維持管理を進めるためには,構造物の状態を把握する基盤となる点検・調査データの品質向上および定量化は重要な課題である.
社会インフラ診断技術として従来から打音検査は広く利用されているが,打音検査の手法および判定は点検員の主観と経験に基づいている.本研究では点検員の経験や技術に左右されずに正確に損傷箇所の抽出が可能な技術開発を目的とし,打音検査の実証実験を行い得られた判定結果を検査実施者の年代や経験年数ごとに分類,整理した.これによって,新技術への適応可能性について課題を整理した.
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