2023 年 2 巻 1 号 p. 286-295
橋梁をはじめとする交通インフラは,高度経済成長期に整備され,現在,建設後50年以上経過し,一斉に更新時期を迎えることが予想されており,点検,健全度診断,補修優先度,架替えの判断を効果的,効率的に行う必要がある.本論文では,構造物の効果的,効率的な損傷同定方法の確立を目的として,非接触かつ遠距離測定が可能な計測方法の一つであるレーザードップラ速度計を用いて,はりの固有振動数及びたわみを計測し,損傷が固有振動数やたわみに与える影響について検討している.さらに,有限要素法を用いた移動荷重を受けるはりの時刻歴応答解析から,損傷の有無がわたみの時刻歴応答に及ぼす影響について比較検討を行い,損傷がないはりと損傷があるはりのたわみの時刻歴応答の変化率を求めることによって損傷の有無と位置を特定できることを示した.