2024 年 3 巻 1 号 p. 154-161
ポリマーセメントモルタル(PCM)における気中硬化時のひずみ挙動と硬化後の一軸圧縮特性について調べた.膨張材と収縮低減剤の添加量を変えた供試体を作製し,気中曝露における硬化時のひずみを計測した.また,硬化時のひずみ計測を行った供試体を一軸圧縮し,荷重とひずみを計測した.その結果より,膨張材と収縮低減剤の両方を添加した供試体について,収縮低減剤が空隙水の毛管力を低減させる効果により材齢5日程度までは,膨張材の作用を促進する傾向にあるが,その後は膨張材と収縮低減剤の相互作用による微小空隙の生成過程により膨張が抑制されると考えられる.また,膨張材と収縮低減剤の両方を標準量添加した場合,材料内部の空隙量の減少と密度増加により圧縮強度と弾性係数が増加すると考えられる.