2024 年 3 巻 1 号 p. 265-272
大型車交通量の多い路線の鋼床版橋梁では,デッキプレートとUリブの溶接部にデッキ進展き裂およびビード進展き裂が発生する.首都高速道路では,デッキ進展き裂は鋼床版SAUTによって深さ6mm以上のき裂を,ビード進展き裂は溶接ビード表面に現れたき裂を目視で検出しているのが現状である.き裂をより浅い段階で検出することができれば,検出したき裂に対する補修対策の選択肢が増える.本研究では,超音波フェーズドアレイに着目し,デッキ進展き裂およびビード進展き裂を発生の初期段階で検出するための専用の探傷装置を開発し,デッキ進展き裂およびビード進展き裂を導入した試験体を用いて検出精度の検証を行った.その結果,本装置によって従来の超音波探傷技術よりも浅いき裂を検出できることを確認した.