2024 年 3 巻 1 号 p. 31-39
本研究では補強土壁における施工時の品質管理や竣工後の維持管理に関する諸問題を改善し,補強土壁のメンテナンス性向上を目的として,アンカー補強土壁を対象とした実大実験を実施した.その結果,施工中に補強材の引抜き抵抗力を計測することで,不良土の混入や締固め不足を迅速に検知できる可能性があることを確認した.また,メンテナンスサイクルにおける診断時において,補強材に作用する引抜き前の引張力と引抜き時の最大抵抗力との比較が可能となることや,修復(措置)時にも既設補強材に作用する引張力やその変化を把握しうることから,補強材を壁面材の表側で連結できるようにすることは,補強土壁のメンテナンス性向上にとって極めて有効であるとの認識を得た.