2024 年 3 巻 1 号 p. 21-30
インフラの中で,橋梁は生活道路上にあるため,老朽化が特に注目されている.数が多い中小橋梁のその多くは,基礎自治体により管理されている.管理者は,橋梁の耐震整備を行っているが,時間と予算の関係から優先順位を決めなくてはならない.原則,優先順位の決め方は,アセットマネジメントに基づき行うものとされているが,実務上,明確なものがない.本研究では,首都直下地震が懸念される昨今,発災後,災害拠点間の道路ネットワーク上にあり,早期に復旧させるために利用する頻度の高い橋梁を重視すべきとの考えに基づいた決定法を提案した.この考えに則り,大田区内を対象としてシミュレーション解析を実施し,各拠点間を結ぶ路線上にある利用頻度の高い橋梁を見出した.この検討結果を踏まえ,本手法を社会実装するための注意点を指摘した.