抄録
本研究では, 摩擦面を有し鉛直荷重を支持する荷重支持板と水平方向の復元力を確保する水平荷重分散装置から構成されるすべり摩擦型免震支承装置の上揚力に対する性能を評価することを目的として, 実験および数値解析を実施した. その結果, 水平荷重分散装置は, 上揚力を受けた後も桁を水平方向に原位置へ引き戻すばねとしての機能を保持することと, 引張り耐力の点からは補強鋼板を入れた積層ゴムにすることが望ましいことを確認した. 荷重支持板については, 桁が支承面に落下しても, すべり摩擦型免震支承としての機能は保持することを確認した. 数値解析結果からは, 本解析対象橋では桁の鉛直方向の浮き上がりによる発生断面力の変動は無視できることを示し, 鉛直剛性の低い水平荷重分散装置を用いれば過大な引張上揚力の作用を防げることを示した.