2005 年 2005 巻 782 号 p. 782_131-782_141
近年, 山地部から海岸域までの総合土砂管理の必要性が認識され, ダムの堆砂問題も水系全体の中で位置付けていくことが必要になるとともに, 水系内の土砂移動の把握や流出土砂量の推定が, 従来にも増して重要になっている. ダム貯水池の堆砂実績は, この推定に際し優れたデータを提供する. 本報文は, 堆砂実績データに基づき, 全国各地の貯水池における堆砂量の経年変化を整理し, その変化状況と諸要因との関係を調べることにより, いくつかの堆砂特性の傾向と流域の土砂流出の特性を把握しようと試みたものである. 検討の結果, 堆砂量の経年変化には大別して三種のタイプがあること, 種々のタイプを生ずる原因には山地の土砂生産の増減のほか背砂が関与している可能性があること等を論じた.