抄録
近年, 建設コストの縮減という観点からコンクリート構造物のライフサイクルコストを算出する必要性が大きくなっている. ライフサイクルコストの算出においてはリスクコストの算定が最も困難であり, 橋梁構造物のみならず部材でさえもリスクコストの算出方法は確立されていない. 本研究はRC床版が疲労を受けるときの床版の劣化予測を行い, そのリスクコストの算出方法を示したものである. 床版の劣化は塩害などの環境によっても作用を受けるが, 疲労とは劣化のメカニズムが異なり, 統一した考え方が困難なため取扱いを避けた. 床版厚を変化させることによる疲労破壊確率を算定し, リスクコストを求めた. その確率の算出方法を示し, 架替えコストを乗じることでリスクコストを算出した.