抄録
近年, 都市ではヒートアイランド現象の影響などもあり, 想定規模を越えた集中豪雨に見舞われることが多くなってきた. こうした豪雨に対する都市の雨水排除システムは必ずしも万全とは言えず, 地形的な弱点箇所とりわけ地下街や地下室といった地下空間に大きな被害がもたらされる可能性が高まってきている. 本研究は, このような都市地表面における内水氾濫とこれと連動して起こる地下空間における浸水過程を対象とし, これをできる限り簡易的に予測する解析方法を提案することを目的としている. さらに, このモデルを東京新宿駅周辺に適用し, この地域ならびにその地下街において予想される被害状況を把握するとともに, 地下街の被害を軽減する手だてについても考察している.