2005 年 2005 巻 791 号 p. 791_19-791_30
盛土の内部構造を簡便に調査する手法として, 鉄道盛土においてのり面を測定点とした人力打撃による弾性波探査法を試行し, 取得された走時データを用いて弾性波トモグラフィを行った. トモグラフィの結果は孔間法など他の手法と整合性があり, 本手法が実用に値することを確認した. また鉄道盛土の構造や規模などの調査条件を整理して, 弾性波トモグラフィを用いた鉄道盛土の調査法の標準化を図った. さらに, 本調査法を東海道新幹線の複数の盛土に適用して, 盛土内部構造の解明に関する考察を試みた. 本論文で提案した調査法は, 保安上等の理由から制約の多い新幹線盛土の内部構造解明に適用できるうえに, ボーリング削孔が困難な他の箇所にも適用できる簡便な方法として, 多岐に活用できる可能性がある.