2005 年 2005 巻 800 号 p. 800_27-800_36
本研究は, 店舗や住宅など, 街路の沿道要素を粒として捉える「グレイン論」を導入することによって, 歴史的印象を感じられる街路の条件を明らかにすることを目的とする. 歴史的な街路を対象とした実験で得た歴史的印象評価とグレイン構成比の関係を分析した結果, 次のような結論を得た. 1) 街路の歴史的イメージはグレイン構成比と強く相関しており, 街路イメージの分析にグレイン論の適用が有効である. 2) 街路に歴史性を感じると評価されるには, 歴史的ファサードを持ったグレインが全体の20-30%以上必要であり, かつ, 歴史性を阻害するグレインは歴史性に寄与するグレインの10-20%以下でなければならない. 3) 歴史的印象評価をグレイン構成比等から予測する式を提示し, これを通じて街路の歴史性評価を上げるための方策を提案した.