抄録
本稿では, 寡占化が進行する国際コンテナ貨物輸送市場をモデル化し, 港湾諸政策が市場に与える影響を評価する. まず, 寡占化を考えるにあたり, 世界的な同盟船社群間に量的競争を仮定する. キャリアの制御変数はリンクの輸送能力ではなく, 実在する航路の輸送能力として定式化を行った. 次に荷主には確率配分を仮定し, 定式化を行い, 最適化条件の導出を行った. 2000年のアジア発着コンテナ市場を対象とした再現性の評価を行った. 最後に2000年時点での港湾諸費用の変化による感度分析を行った結果, スーパー中枢港湾指定を行うことで3大湾へのトランシップ貨物の集荷量が増大することがわかった.