1993 年 1993 巻 479 号 p. 11-20
都市内河川周辺で気象観測を行い, 夏期の河道内外の気象環境を評価した. 気象観測は典型的な夏日に東京都荒川の河道内外で実施した. 河道内では係留気球を用いて, 市街地上を吹送してきた大気が高水敷および水面上にて冷却される状況を観測した. 高水敷上および水面上で熱収支観測を行い, 両者の面が大気冷却に果たす役割を明らかにした. 河川の風下側に位置する市街地で得られた気温の測定結果より, 河川の気象学的な影響が到達し, 気温低下が認められた範囲は堤防から最大約150mまでの地点に及び, 低下量は大気が河川上で交換した熱量と相関があることが明らかになった.