抄録
逆解析を考える上で, 未知量の共分散行列は大変重要な役割を担っている. 本研究ではその共分散行列に注目した2つのテーマについて論じる. 複数の施工あるいは観測ステップからなる問題を考える場合, あるステップにおける逆解析の結果は次のステップの事前情報として引き継ぐことにより, 複数ステップの観測情報から総合的に未知パラメタを推定することができる. 一つ目のテーマとして, こうした時間更新を考慮した逆解析の方法を示し, 時間更新に際して付加されるプロセスノイズの役割について検討を行った. また, 2つ目のテーマとして未知量や応答値の共分散行列を基にした観測点配置の評価指数の提案を行い, 数値計算例を示した.