抄録
メソスケール気象モデルとラグランジェ型粒子モデルを用いて桜島からの火山プリュームの輸送・拡散過程を解析した. 気象モデルにはナッジングによる4次元データ同化手法を利用し, 1987年5月7日から10日までの気流をシミュレートし, 火山プリュームの3次元的な輸送・拡散過程が捕えられた. 火山ガスプリュームは高度500~2000m付近を輸送され, 長崎県北部 (風下移流距離200km) で水平方向に50kmの広がりを取っていた. 上空を輸送される火山プリュームの地上への輸送には, 大気境界層の発達によるエントレイメントが重要な役割を示した. モデルの結果は同期間に行われた航空機観測結果と長崎県下の地上測定局のSO2濃度の時間空間変化をよく説明できた.