抄録
豆腐製造工程で排出される残渣「おから」を基質とし, 嫌気性細菌によるおからの分解に伴う水素生成を, 35℃における回分実験により研究した. 固形物濃度を2.3-9.2%の範囲で変化させて, 累積水素生成量および水素生成活性に及ぼす固形物濃度の影響およびおからの分解特性を検討した.
最大累積水素生成量は0.020m3・kg VS-1 (固形物濃度6.4%), 累積生成ガスの54-78%は水素であり, 累積水素生成量は固形物濃度による大きな影響を受けなかった. 水素生成は, おからより溶出した溶解性糖濃度の低下に伴って起こり, 主な代謝産物は酢酸, プロピオン酸, n-酪酸およびエタノールであった.