土木学会論文集
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1997 巻, 573 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 伊坪徳宏 , 山本 良一
    1997 年1997 巻573 号 p. 1-8
    発行日: 1997/08/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    製品の全ライフサイクルの物質・エネルギー収支を用いて環境負荷を定量化して評価を行い, その低減方策のための有用な情報を与える手段として, LCA (ライフサイクルアセスメント) が注目されている. しかし, LCAはまだ発展途上のツールであり, 現段階において世界的に合意された手法は存在しない. 現在LCAの手法開発に向けて活発に研究が国内外問わず進められている. 特にLCAの最重要な段階である, インパクト分析については, 欧米を中心に様々な手法が提案されている. 本稿では, LCA研究の現状をインパクト分析手法を中心に概説する.
  • 小泉 明, 稲員 とよの, 佐藤 則隆
    1997 年1997 巻573 号 p. 9-17
    発行日: 1997/08/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文では, 下水道の面整備計画を立案するためのファジィDPモデルを提案する. このモデルは, 計画期間全体の削減汚濁量を最大にするために, どこの地区をどの時点で面整備を行えばよいかを決定し, 多大な時間を要する面整備を理論的に支え, 不確実性を伴う将来の人口をファジィネスとして捉えることにより, 将来の発生汚水量, 面整備費用及び予算の不確実性を評価することができる段階的計画を立案するものである. そして, 提案したモデルの比較分析並びにケーススタディを通して, モデルの特性を明らかにするとともにその有効性を示した.
  • 岩本 友里奈, 佐藤 弘泰, 味埜 俊, 松尾 友矩
    1997 年1997 巻573 号 p. 19-26
    発行日: 1997/08/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    生物分解性プラスチックであるポリヒドロキシアルカノエイト (PHA) を活性汚泥を用いて生産する方法について検討した. 嫌気好気式活性汚泥法の嫌気工程に微量の空気を供給する微好気好気法を用いることにより, 系内に高いPHA生産力をもつ微生物を集積することができた. その微生物を用いてPHA生産実験を行った結果, 微好気工程で供給される微量の空気量が微生物のPHA生産能力 (PHA蓄積速度・蓄積継続時間・炭素源のPHAへの変換率) に影響を与えることが明らかになった. 観察された最大のPHA蓄積率は汚泥の乾燥重量の62%であった. また蓄積されるPHAポリマーの構成成分は3-ヒドロキシ酪酸と3-ヒドロキシ吉草酸であった.
  • 藤田 壮, 盛岡 通
    1997 年1997 巻573 号 p. 27-37
    発行日: 1997/08/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, ヘドニック価格法を用いて大阪湾臨海部の住宅地価格を分析することにより, 親水環境整備の社会的便益評価をおこなう. 環境資源の社会的便益が立地点に固有のものであると同時に, 環境資源の存在する地区全体で享受される性格を持つことに注目して, 臨海エリアを共通の親水環境条件を持つ11の地区に分割し, それぞれの地区単位の環境特性を示す変数を用いてヘドニック分析をおこなう. その結果を住宅の立地点に固有な環境変数を用いた分析と比較することによって, 親水環境整備の社会的便益の帰属特性についての考察をおこなうとともに, 分析から得た砂浜整備の便益測定値を試算し, 既存研究の測定値と比較しヘドニック分析法の環境計画システムへの有用性について議論する.
  • 和田 安彦, 三浦 浩之
    1997 年1997 巻573 号 p. 39-47
    発行日: 1997/08/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    都市部では用地取得の困難性から浸水対策用の雨水貯留施設として大規模な雨天時下水幹線の設置が行われている. 本論文では, この大規模雨天時下水幹線により合流式下水道の越流対策を行う場合の制御方法を検討した. 既存下水管路の分水点に浸水対策用の分水堰と合流式下水道越流水対策用の分水堰を設置した場合, 合流式下水道の改善効果は高いが大降雨時においてピーク流量が生じる前に大規模雨天時下水幹線が満水となり, 流出雨天時下水を貯留できない危険性があった. そこで, 分水堰を可動式として, 多雨期には浸水対策用, 少雨期には合流式下水道越流水対策用の堰とする制御法を考えた. この制御法によれば, 浸水対策と合流式下水道越流水対策を両立できることが明らかになった.
  • 今井 剛, 浮田 正夫, 関根 雅彦, 中西 弘, 深川 勝之
    1997 年1997 巻573 号 p. 49-59
    発行日: 1997/08/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 上向流式嫌気性ハイブリッドブランケット (UAHB) 法により硫酸塩及びアンモニアを高濃度に含む発酵工程廃液を処理した場合の処理特性ならびにグラニュール形成過程に関して検討した. また, メタン生成菌に対する硫酸還元菌による阻害の指標として, 一般に用いられているTOC/SO42-比についても検討した. 実験結果より, 従来その形成が困難とされてきた上記廃液の処理プロセスでもグラニュールの形成が確認された. 反応器内における遊離性の硫化水素の濃度が200mg/l以下の場合には阻害は生じず, UAHBプロセスは上記の廃液の処理に良好な性能を有することが明らかとなった. さらに, 廃水中の硫酸塩による阻害の発現は, TOC/SO42-比だけによらず, 硫酸塩の絶対量によっても決定されるべきことが示された.
  • 堀内 将人, 井上 頼輝, 森澤 眞輔, Barokah Aliyanta
    1997 年1997 巻573 号 p. 61-70
    発行日: 1997/08/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    不撹乱土壌カラムに非収着性物質 (塩素イオン) および収着性物質 (コバルト) を含む原液を通水することによって得た破過曲線を, 土壌水分流れの非一様性と収脱着反応の非平衡性の両者を考慮したモデルによって解析した. その結果, 構造の発達した不撹乱土壌では, 撹乱土壌に比べて水分流れが多成分化し分散能も大きくなることを示した. また不撹乱土壌では, 粒子内部へ物質が拡散移動してから収着する成分が増加するため, 撹乱土壌に比べて非平衡収着領域が相対的に増加すること, 等を明らかにした.
  • 増井 利彦, 盛岡 通
    1997 年1997 巻573 号 p. 71-80
    発行日: 1997/08/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    日本国内の産業を9部門に分割し, 財の需給バランスを内生的に決定する最適化モデルを構築し, 炭素排出量を削減するシナリオについて分析を行った. 炭素排出量の削減により, 現状推移と比較してすべての部門で粗生産額は減少する. なかでも素材型製造業と非製造業における炭素削減率に対する粗生産減少率が顕著である. 2020年の炭素排出量を1990年排出量から20%削減するシナリオにおける炭素削減の限界費用は, 炭素排出量安定化シナリオと比較して2020年で2.9倍となる. 炭素排出量安定化シナリオにおいて, 発電時の炭素排出量を各部門に割り振る (エンドユーザーに炭素税を課す) ことで, 2020年の産業全体の粗生産額は1.3%回復する. これは, 家計における電力需要の増大に伴う炭素排出量の増加に起因する.
  • 松岡 譲, 森田 恒幸, 水野 健太
    1997 年1997 巻573 号 p. 81-92
    発行日: 1997/08/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    筆者らは, エネルギー消費技術の進展が二酸化炭素排出量とどのように関係するかを評価するモデルとして, エネルギー消費技術の積み上げを基礎においた排出モデルの開発を行った. 本論文は, この開発モデルを詳細に記述し, モデルの適用例として, わが国における家庭, 業務及び主要産業部門を対象とした2010年までの二酸化炭素排出量の見通しを報告したものである. 本推計結果によると, 2010年度の上記部門を合計した二酸化炭素排出量は, 各消費技術のサービス分担率を固定したシナリオでは256.6MtC/a, 技術を選択するシナリオでは241.6MtC/a, エネルギー転換部門の排出抑制対策を考慮した技術選択シナリオでは224.7MtC/aとなった. すなわち, 省エネ型技術の普及とエネルギー転換部門の抑制対策が進めば, 2010年度における二酸化炭素の排出削減量は約32MtCとなり, 1990年度排出レベルに安定化することは可能であることが示された.
  • 松梨 史郎
    1997 年1997 巻573 号 p. 93-110
    発行日: 1997/08/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    富栄養化した湾の奥部水域として, 東京港を対象に水質のシミュレーションを実施し, 実測値と照合するとともに, 各水質の移流・拡散項および化学・生物学的変化項の時空間変化の比較を行った. その結果, クロロフィルaについては, 暖候期の増殖と寒候期の減衰が示されるとともに, 場所によってプランクトンの増大する要因が異なることが確認された. CODについては, クロロフィルaの変化に類似した時空間変化の特性が再現されており, 植物プランクトンの影響を強く受けていることが推察された. また夏季の下層で貧酸素化が進行している場所では, 底泥による酸素消費や有機物の分解等により, エスチャリー循環による沖合からの豊酸素の供給では補えないほど, 酸素の消費が生じていることが認められた.
  • 水野 修, 大原 健史, 野池 達也
    1997 年1997 巻573 号 p. 111-117
    発行日: 1997/08/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    豆腐製造工程で排出される残渣「おから」を基質とし, 嫌気性細菌によるおからの分解に伴う水素生成を, 35℃における回分実験により研究した. 固形物濃度を2.3-9.2%の範囲で変化させて, 累積水素生成量および水素生成活性に及ぼす固形物濃度の影響およびおからの分解特性を検討した.
    最大累積水素生成量は0.020m3・kg VS-1 (固形物濃度6.4%), 累積生成ガスの54-78%は水素であり, 累積水素生成量は固形物濃度による大きな影響を受けなかった. 水素生成は, おからより溶出した溶解性糖濃度の低下に伴って起こり, 主な代謝産物は酢酸, プロピオン酸, n-酪酸およびエタノールであった.
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