筆者らは, エネルギー消費技術の進展が二酸化炭素排出量とどのように関係するかを評価するモデルとして, エネルギー消費技術の積み上げを基礎においた排出モデルの開発を行った. 本論文は, この開発モデルを詳細に記述し, モデルの適用例として, わが国における家庭, 業務及び主要産業部門を対象とした2010年までの二酸化炭素排出量の見通しを報告したものである. 本推計結果によると, 2010年度の上記部門を合計した二酸化炭素排出量は, 各消費技術のサービス分担率を固定したシナリオでは256.6MtC/a, 技術を選択するシナリオでは241.6MtC/a, エネルギー転換部門の排出抑制対策を考慮した技術選択シナリオでは224.7MtC/aとなった. すなわち, 省エネ型技術の普及とエネルギー転換部門の抑制対策が進めば, 2010年度における二酸化炭素の排出削減量は約32MtCとなり, 1990年度排出レベルに安定化することは可能であることが示された.
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