1997 年 1997 巻 582 号 p. 23-34
トンネル掘削や開削工事での止水工法は非常に重要であり, 薬液注入工法が頻繁に使用されている. 注入による止水性が問われるのは掘削時や切羽接近時においてであり, 注入範囲も変形状態にあると考えられる. しかし, 現実には施工時の変形を考慮した止水性の評価はほとんど論じられておらず, 変形を伴わない止水性の評価に限られている. 本研究では, 注入固結砂の変形過程における止水性について, 室内で作成された固結砂供試体を用いて三軸圧縮試験下での透水試験を行った. 試験結果について砂地盤の動水半径と薬液ホモゲルの脆性度により整理し, 変形中透水係数が急激に増加し始める時のひずみε(k (ini))に着目して, 限界ひずみεoを指標値とした変形過程における止水性の評価と予測の提案を行った.