抄録
本論文は, 断面を構成する板要素の幅厚比が比較的大きいノンコンパクトな溶接鋼I形断面はりを対象に, 断面の非対称性がはりの横ねじれ座屈強度と変形性能に及ぼす影響を実験的に検討する. フランジ幅と板厚を多様に変化させた二軸および一軸対称断面の合計10シリーズに対し, それぞれ4種類のはり長さを選び, 単純スパンの中央に集中荷重が作用した場合の横ねじれ座屈実験を行う. はりの座屈崩壊モードと変形性能を調べ, 回転容量の推定式を求める. また, 部材の実測残留応力を考慮した非弾性横ねじれ座屈強度, 局部座屈と横ねじれ座屈の連成強度評価および設計基準強度曲線との適合性などを考察する.