1998 年 1998 巻 600 号 p. 51-57
流れの中に置かれたV型構造物の後部に強い一対の渦が形成され, それによって下層水を湧昇させうることは浅枝等の一連の研究によって明らかにされている. 本研究では下層水の湧昇のメカニズムを詳細に明らかにするための実験的検討を実施するとともに, 工学的により重要な成層流のケースの湧昇高についても実験的に検討した.
理論的には Large Eddy シミュレーションモデルを使用した数値計算が実施された. 数値計算結果は実験結果と比較され, その妥当性が検討された. 実験結果および数値計算結果より, 構造物の角度θが90°の場合に湧昇流効果が最大になること, また, 成層流の条件下では成層効果が強くなると湧昇流効果は弱くなる等の種々の知見を得た.