抄録
従来からパラメータ推定の煩雑さのためにプロビットモデルが交通需要予測に実務的に利用される機会は少なかった. しかし, 近年シミュレーション法を利用した新たなパラメータ推定方法が複数提案され, プロビットモデルの利用が再び検討され始めている. プロビットモデルは, ロジットモデルとは異なり選択肢間の相関が高いケースにおいてもその適用が可能であり, 今後の発展が期待されるが, パラメータ推定法の特性は十分に把握されていない. 本研究では著者らがすでに提案した構造化プロビットモデルを対象に, パラメータ推定の安定性の把握と利用者便益の推計特性の把握とを試み, 共に安定性を確保できる計算条件を明らかにしている.