1998 年 1998 巻 608 号 p. 13-29
3次元循環モデル (Blumberg and Goodrich) に海水面における熱交換モデルを結合し, 熱収支計算が気象条件を与えることで可能となるように改良したモデルを東京湾に適用し, 1989年7~10月の実際の気象条件下で計算を行い, 検証した. 計算から, 北風の際に千葉県側湾奥部において, 表層水が東岸に沿って南下し, 底層水が北上する流れが生起するうえ, 鉛直混合が促進される結果, 湾奥部の全水柱水質が底層水質により規定されること, その際, 海面冷却の効果でさらに成層が不安定になり鉛直混合が促進され青潮現象に至ることが示された. また, 南風の際には北風時同様, 千葉県側湾奥部において, 鉛直混合が促進されるが, 流動状況が北風時と逆になるため全水柱水質は表層水に規定されることが示された.