抄録
本研究では, Pyrene および1-Aminopyrene をフミン酸添加および無添加の条件で回分式活性汚泥処理に適用した. 疎水性が強く無極性の Pyrene はフミン酸の有無に関わらず80%以上が活性汚泥に収着され生分解を受けなかった. 一方, 極性を持つ1-Aminopyrene は時間経過とともに汚泥からの抽出分が減少し, 生分解および揮散によると考えられる未回収分が増加した. 水相中では, 両物質ともフミン酸添加によりフミン酸を含む共存有機物質への収着分だけでなく遊離形も増加し, 放流水に微量有機汚染物質をとどまらせるフミン酸の働きがみられた. また, 微量有機汚染物質のフミン質に対する収着係数を調べ, それをもとに微量有機汚染物質の活性汚泥処理槽内での挙動モデルを提案し, その妥当性が示された.