土木学会論文集
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1998 巻, 608 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • フミン質の影響
    山本 裕史, 原田 淳, 清水 芳久, 松井 三郎
    1998 年1998 巻608 号 p. 1-12
    発行日: 1998/11/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, Pyrene および1-Aminopyrene をフミン酸添加および無添加の条件で回分式活性汚泥処理に適用した. 疎水性が強く無極性の Pyrene はフミン酸の有無に関わらず80%以上が活性汚泥に収着され生分解を受けなかった. 一方, 極性を持つ1-Aminopyrene は時間経過とともに汚泥からの抽出分が減少し, 生分解および揮散によると考えられる未回収分が増加した. 水相中では, 両物質ともフミン酸添加によりフミン酸を含む共存有機物質への収着分だけでなく遊離形も増加し, 放流水に微量有機汚染物質をとどまらせるフミン酸の働きがみられた. また, 微量有機汚染物質のフミン質に対する収着係数を調べ, それをもとに微量有機汚染物質の活性汚泥処理槽内での挙動モデルを提案し, その妥当性が示された.
  • 渡辺 正孝, 天野 邦彦, 石川 裕二, 木幡 邦男
    1998 年1998 巻608 号 p. 13-29
    発行日: 1998/11/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    3次元循環モデル (Blumberg and Goodrich) に海水面における熱交換モデルを結合し, 熱収支計算が気象条件を与えることで可能となるように改良したモデルを東京湾に適用し, 1989年7~10月の実際の気象条件下で計算を行い, 検証した. 計算から, 北風の際に千葉県側湾奥部において, 表層水が東岸に沿って南下し, 底層水が北上する流れが生起するうえ, 鉛直混合が促進される結果, 湾奥部の全水柱水質が底層水質により規定されること, その際, 海面冷却の効果でさらに成層が不安定になり鉛直混合が促進され青潮現象に至ることが示された. また, 南風の際には北風時同様, 千葉県側湾奥部において, 鉛直混合が促進されるが, 流動状況が北風時と逆になるため全水柱水質は表層水に規定されることが示された.
  • 松梨 史郎, 今村 正裕
    1998 年1998 巻608 号 p. 31-47
    発行日: 1998/11/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    富栄養化した東京港を対象に, 水質・底質結合モデルを用いて, 水質・底質・底泥からの栄養塩溶出フラックスのシミュレーションを実施し, 実測値と照合した結果, 底泥からの栄養塩溶出フラックスの暖候期における増大など, これらの時空間変化の特性が再現された. 次に流人負荷を削減した場合に対する水質・底質・底泥からの栄養塩溶出フラックスの応答について検討した結果, 流人負荷量の減少に対して, これらは線形に減少した. この理由として, 東京港は, 河川からの流入負荷が集中し, 流入負荷の影響をいち早く受け, 滞留時間が物質の化学・生物学的な特性に影響されにくいためと考えられた. また流入負荷量の削減率に比べてこれらの減少率は小さくなり, これらは background 濃度の影響のためと判断された.
  • 藤原 拓, 宗宮 功, 津野 洋, 奥野 芳男
    1998 年1998 巻608 号 p. 49-59
    発行日: 1998/11/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 反応器断面積あたりの空気流量 (Ugo) が少なくかつ内管径の反応器径に対する比 (Di/Do) が低い条件下において運転される二重管縦型下水処理反応器の液流動に関して理論的および実験的検討を行った. その結果, 本反応器の液循環流速に関する経験式を提示し, 各種装置条件および各種Ugo条件における液循環流速の予測を可能にした. また, 実測値および経験式による予測値に基づき考察した結果, 液循環流量 (QL) は曝気を行う内管部の断面積の反応器断面積に対する比 (Ai/Ao) にほぼ比例することを明らかにした. さらに, UUgo=0.0005~0.005m3/(m2・s), Ai/Ao=0.02~0.14の範囲では外管部下降時間は外管部断面積の内管部断面積に対する比 (Aa/Ai) にほぼ比例することを明らかにした.
  • 柴田 信勝, 茂庭 竹生
    1998 年1998 巻608 号 p. 61-75
    発行日: 1998/11/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    腐葉土, 沈砂池沈泥, 河川底泥より抽出したフミン・フルボ酸について, オゾン処理を軸にした各種の促進酸化法 (AOP) で処理を行ったところ, 抽出源はヒドロキシルラジカル (・OH) による無機化に関して大きな要素ではなかった. また, フミン・フルボ酸やリグニン, p-ヒドロキシ安息香酸などのベンゼン環を有する物質が・OHによって酸化処理された時に生じる物質は, ジカルボン酸類と似た特性を示すことが測定された. これにより, フミン・フルボ酸の無機化には・OHによるベンゼン環あるいはそのオゾン酸化生成物の酸化が大きく関わっていることが示唆された.
  • 上岡 誠一, 柏谷 衛
    1998 年1998 巻608 号 p. 77-85
    発行日: 1998/11/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    高炉セメントとベントナイトに粉末活性炭を混合して硬化させた地中壁 (粉末活性炭混合CB地中壁) で, 難分解性有機汚染物質を遮蔽する手法の検討を行った. 指標有機汚染物質として, 分子量の選別が可能なジエチレングリコールおよびポリエチレングリコールを使用した. 粉末活性炭混合CBの有機汚染物質に対する遮蔽能力の解明を, 吸着物質の移動を解析するモデルに, 移流拡散方程式を適用して実施した. そして, 有効拡散係数, 遅延係数および間隙内平均流速等の実測結果を用いることで, 有機汚染物質の破過時間を予測した. この結果, 厚さ1mの地中壁を構築し, 動水勾配が0.1を示すとき, 分子量200から1000の有機物質は100年以上, 分子量100でも40年以上の遮蔽能力が算出された.
  • 木村 克輝, 渡辺 義公, 大熊 那夫紀
    1998 年1998 巻608 号 p. 87-95
    発行日: 1998/11/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 回転平膜の表面に硝化細菌を保持しながら膜ろ過を行う膜処理プロセスを用いて, 低濃度アンモニア性窒素 (NH4+-N) の酸化を行った場合に形成される膜ろ過抵抗について検討した. 実験結果より, 本プロセスにおける膜ろ過抵抗は運転開始時に膜面に付着させる微生物群の特性に強く依存することが明らかとなった. 膜ろ過抵抗の分布について検討した結果, 本プロセスでは全膜ろ過抵抗の70-80%が膜面に付着・蓄積したケーキに起因するものであった. 約500時間に一度の頻度で付着ケーキの除去, 排出を行いながら長期連続運転を試みた結果, 約3000時間の運転継続が薬品洗浄無しで可能であった. 付着ケーキに起因する抵抗以外の膜ろ過抵抗は, 有機物質が膜細孔を覆い隠すことで発生していた.
  • 河邑 眞, ジャヤマンナ サナス, 辻子 裕二, 杉山 晃
    1998 年1998 巻608 号 p. 97-105
    発行日: 1998/11/22
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    この論文は, 衛星データを用いた都市化の定量的評価についてアジアの4つの都市を対象として比較研究を行なった結果を示したものである. 筆者らは以前の論文でランドサットTMデータから算出される都市化指標UIを提案している. この論文では, まずこの都市化指標が異なる地域, 異なる季節に対して適用可能かについて検討した. つぎに, この都市化指標UIと植生指標NDVIを用いて都市における都市化と植生環境の関係を4つの都市について比較検討した. 最後に都市化した地域の分布状態を調べるためにジョイン値を用いた解析を行った. 以上の検証の結果, 二つの都市化のタイプが定量的に認識された.
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