1999 年 1999 巻 612 号 p. 359-371
雲仙普賢岳の噴火災害 (平成2年~平成7年) において, 深江町立大野木場小学校が平成3年9月15日の火砕流によって焼失した. この校舎を災害メモリアルとして保存し, 地域の活性化に活用しようとする深江町復興計画が策定されたが, 学校用地が砂防指定地に含まれた. このため, 砂防ダムの位置, 保存の事業主体, 維持管理の主体, 砂防事業としての整合性などをクリアする必要が生じた. 関係者の間で各種の検討がなされ被災校舎の保存が確定した. ここでは, 小学校被災校舎の保存のプロセスおよび各種の課題を明らかにする.