土木学会論文集
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1999 巻, 612 号
選択された号の論文の31件中1~31を表示しています
  • 脱マニュアルの時代を迎えて
    土木学会構造工学委員会・建設事業における確率統計的
    1999 年 1999 巻 612 号 p. 1-10
    発行日: 1999/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
  • Y. B. Londhe, R. S. Jangid
    1999 年 1999 巻 612 号 p. 11-20
    発行日: 1999/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    In this paper, effectiveness of a new base isolation system i. e. elliptical rolling rods between the base and the foundation of structure is investigated. Equations governing the motion of a multi-storey shear type building supported on the elliptical rolling rods are derived. The dynamic response of the system to both harmonic and real earthquake ground motions is obtained by integrating the incremental equations along with an iterative technique. The iterations are required due to non-linear force-deformation behaviour of the elliptical rolling rods. Effectiveness of the elliptical rolling rods is studied by comparing the response between isolated and corresponding fixed base system. In addition, a parameteic study is conducted to investigate the effects of important parameters on the effectiveness of elliptical rolling rods. The parameters considered are: the fundamental time period of the superstructure, the coefficient of rolling friction and the eccentricity of the elliptical rolling rods and the frequency content of ground motion. It is shown that the elliptical rolling rods are quite effective in reducing the dynamic response of the system without undergoing the large displacements or living the large residual base displacement.
  • パク ジョングン, 大塚 久哲
    1999 年 1999 巻 612 号 p. 21-30
    発行日: 1999/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    等価線形化法はバイリニア形の免震構造物の設計において, 構造物の最大変位を推定するためによく用いられる方法である. 従って, 等価線形化法で免震構造物の応答を精度よく推定するのは大事なことである。本論文では, 等価線形化法を利用し, より正確な免震構造物の最大変位を求めるための, 減衰補正係数を提案した. この減衰補正係数を求めるために, さまざまな地盤と地震波形の特性を有する18種類の標準波形を用いた. ここで, 等価線形化法を利用した応答推定精度は免震措置の弾性周期と, 降伏力と構造物の総重量との比に関係があることを確認した.
  • 坂野 昌弘, 米本 栄一, 鹿野 顕一, 三上 市藏
    1999 年 1999 巻 612 号 p. 31-43
    発行日: 1999/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    4種類の垂直補剛材取付け部をもつプレートガーダー試験体を用いた一定振幅荷重および道路橋シミュレーション変動荷重疲労実験を行い, ディテールによる違いやせん断応力の影響を考慮した強度評価, 強度のばらつきなどについて検討した. その結果, 曲げ応力とせん断応力から求めた最大応力範囲で疲労強度を評価すれば, 一定振幅, 変動荷重ともに全てのディテールについてD等級を十分満足すること, および, すみ肉溶接止端部の形状のばらつきに着目した疲労亀裂進展解析により, かなり厳しい条件を想定した場合でも垂直補剛材取付け部の疲労強度等級としてD等級が十分適用できることなどが示された.
  • 三木 千壽, 休場 裕子, 沖中 知雄
    1999 年 1999 巻 612 号 p. 45-53
    発行日: 1999/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    阪神淡路大震災において, 橋梁部材の大規模変形後に脆性破壊の発生するケースが見られた. そこで本研究では, 阪神淡路大震災により被災した橋脚より採取した鋼材の材料試験を行い, 材料特性の変化に着目する. これにより地震時に橋脚に導入されたひずみを推定するとともに, このひずみによる鋼材の脆化について検討を加え, 地震時の脆性破壊発生のメカニズムを明らかにしようと試みる.
  • 島村 一訓, 竹之内 博行, 三木 千壽, 福澤 小太郎
    1999 年 1999 巻 612 号 p. 55-66
    発行日: 1999/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    埋設パイプライン耐震設計の重要なパラメータである軸方向の動的地盤ばね特性 (ばね定数および限界せん断応力) について, 実大規模で実験するための高速載荷実験装置を開発し, 口径600mmのポリエチレン被覆鋼管を土被り180cmに埋設して, 高速載荷で押し引きする実験を行った. その結果, パイプラインと地盤の間のせん断応力が一定値に達するとパイプラインと地盤の間に滑りが生じる, 地盤ばね定数および限界せん断応力は載荷速度が大きくなるにつれて増加する, 高速載荷時の限界せん断応力は1回目の載荷時が最も大きく2回目には40%~50%低下する, 等の結論が得られた.
  • 森 伸一郎, 三輪 滋
    1999 年 1999 巻 612 号 p. 67-83
    発行日: 1999/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    大規模地震の際に, 液状化した地盤の中でも, 地盤との相対変位に対して安定した水平抵抗を発揮する機能を有することを期待した翼付杭を, 新しい概念の液状化対策杭として考案した. 振動台実験により普通杭と翼付杭のモデルの杭頭振動変位振幅を比較し, その効果を検討した. 乾燥砂または飽和砂から成る地盤に対して実験を行い, 入力加速度, 地盤の密度, 杭頭付加質量をパラメータとして検討した. スペクトル分析と杭の慣性力~変位関係に基づき, 杭頭変位低減メカニズムを明らかにした. どの場合でも約80%に低減する効果があること, 杭の剛性の増加と杭の投影面積の増加に比例する地盤ばね増大効果以上の水平抵抗増大効果があること, これらの効果は杭頭慣性力に対することがわかった.
  • 中井 博, 北田 俊行, 吉川 紀, 村上 脩二, 桜本 洋一
    1999 年 1999 巻 612 号 p. 85-97
    発行日: 1999/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, コンクリートを充填した薄肉円形断面の鋼製部材にねじり, 曲げ, および, それらの組合せ断面力が作用する場合の剛性, 降伏・終局強度, および変形性能について検討するために, 耐荷力実験を実施した. すなわち, 径厚比D/tが30~40の比較的コンパクトな断面の鋼管部材, および, それにコンクリートを充填し合成部材とした実験供試体を各4体の計8体作製した. そして, それらに一様な分布をするねじりモーメントと三角形分布の曲げモーメントとを単独に, あるいは同時に載荷する耐荷力実験を実施した. その結果, 鋼管によって閉じ込められた充填コンクリートに作用する側圧を考慮した実際的な充填コンクリートの圧縮強度と, せん断強度とを基準とした合成断面の全塑性相関曲線を用いれば, この種の合成断面の終局強度を精度よく推定できることがわかった.
  • 原田 隆典, 大角 恒雄, 奥倉 英世
    1999 年 1999 巻 612 号 p. 99-108
    発行日: 1999/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    運動学的断層モデルから放射される地震波の解析解および, 剛性マトリックス法による水平成層地盤の地震波応答計算に必要な解析解を示した. 解析解の工学的応用例として, 周期約1秒までの長周期地震波を運動学的断層モデルから作成し, 短周期地震波は断層特性を考慮した確率論的方法から作成することとし, これによって長周期から短周期領域をカバーした強震動加速度波形を作成した. 本方法の特長を例示するために, 1966年パークフィールド地震 (Ms6.0) による断層近傍での加速度記録を再現した.
  • 泉 博允, 三浦 房紀, 宮坂 享明, 福嶋 研一
    1999 年 1999 巻 612 号 p. 109-127
    発行日: 1999/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    筆者らは前論文「高靭性能耐震ジョイント杭の地震時有効性について」において, 新たに開発した高靭性能耐震ジョイント杭の単純曲げ試験結果の特性を用いた地震応答解析により, その有効性を示した. 本研究は, さらに撓み性を有するように改良した高靭性能耐震ジョイントを開発し, 地震時を想定した正負交番軸力曲げ試験を実施し, 高靭性能耐震ジョイント杭の繰り返し曲げ特性を明らかにした. また, 地震応答解析に必要なこれらの特性の表示式を検討し, 双曲線で定性的に試験結果を近似できることを明らかにした. さらに, この表示式を用いた地震応答解析結果と前論文の解析結果とを比較し, 地震時挙動の把握に, この表示式がより有効であると同時に, 改良した高靭性能耐震ジョイントがより有効であることを明らかにした.
  • 川島 一彦, 庄司 学
    1999 年 1999 巻 612 号 p. 129-142
    発行日: 1999/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    積層ゴム支承で支持される多径間連続橋が兵庫県南部地震クラスのレベル2地震動を受けると, 桁掛け違い部で隣接桁どうしが衝突し, 桁重量の数倍の衝突力が生じる可能性がある. 本研究では, 桁間衝突を緩和するためにゴム製緩衝装置を桁端部に設置した場合の, 衝突力の低減効果ならびに桁と橋脚の応答性状の変化について解析的に検討を行った. その結果, 緩衝装置のエネルギー吸収性能はわずかであるものの, 装置を設置することにより衝突力が大きく低減され, また, ひずみ硬化型緩衝装置の方がひずみ軟化型緩衝装置よりも大きな緩衝力を桁間に伝え, 隣接桁の応答変位を均等化するように機能するため, 変位ストッパーとして桁の応答変位を抑える上で適していることが示された.
  • 清野 純史, 藤江 恵悟, 太田 裕
    1999 年 1999 巻 612 号 p. 143-151
    発行日: 1999/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    現行の計測震度は, 体感や周囲の被害状況との相関が大きくなるようにその諸元が決定されているため, ある周波数帯域 (特に短周期) の地震動成分を強調するような情報となっている. 必然的に対応する周期範囲も限定されている. すなわち, 対象とする構造物の周期範囲が広がるに連れて, 従来のような短周期 (1秒以下) に対応する1つの特性量に, 必要な情報全てを集約することに限界が現れてくる. そこで本研究では, 計測震度を中・長周期の構造物にも対応させるため, その算定法を大きく変えることなく拡張する方法を展開した. また, 被害状況との対応といったような従来どおりの工学的な利用のみならず, 震源メカニズムの概要を簡便に推定するといったような理学的な見地からの本手法の適用の可能性についても考察を行った.
  • 日野 伸一, 山田 岳史, 太田 俊昭, 太田 貞次
    1999 年 1999 巻 612 号 p. 153-163
    発行日: 1999/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    合成床版橋は, 鋼とコンクリートの特長を活用した合理的な橋梁形式である. しかし, これら合成床版橋は正曲げに対しては合理的であるものの負曲げに対しては有利性を発揮できないことから, そのほとんどが単純橋への適用にとどまっている. ところが, 近年の橋梁の連続化志向より, この種の橋梁に対しても連続橋への適用拡大が望まれるようになり, 本研究では鋼板・コンクリート合成床版橋の連続化を目的として, 問題となる中間支点部のコンクリート床版のひび割れ制御について検討を行った. すなわち, 負曲げを受ける床版内に補強鉄筋を配置することおよび断続合成の概念を導入することによるひび割れ制御の妥当性について考察するとともに, ひび割れ幅算定式についても言及した.
  • 鶴来 雅人, 澤田 純男, 入倉 孝次郎, 土岐 憲三
    1999 年 1999 巻 612 号 p. 165-179
    発行日: 1999/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 大阪府全域を対象としてアンケート震度調査を実施し, 1995年兵庫県南部地震の詳細な震度分布を求めた. 得られた震度分布の信頼性を確認するため, 地震観測記録から算出される計測震度との比較および他機関が実施したアンケート震度調査結果との比較を行なった. その結果, 太田方式によるアンケート震度は計測震度で補正する必要があることが明らかとなった. そこで, 本調査結果に対しても補正を行い, 信頼性の高い震度分布を得た. さらに, 震度分布から見かけの震源, 伝播経路およびサイト特性を分離し, 断層破壊伝播による指向性の影響, 震度の距離減衰特性, サイト特性による高震度あるいは低震度域を明らかにした.
  • 阿部 哲子, 藤野 陽三, 阿部 雅人
    1999 年 1999 巻 612 号 p. 181-199
    発行日: 1999/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    1995年兵庫県南部地震により被災した阪神高速神戸線 (西宮-月見山間, 延長約25km, 神P1~P718) を対象とし, 収集したデータに基づいて被害状況を示すとともに, 多くの橋脚で大きな残留傾斜が発生したこと, 傾斜の主方向は地震動の卓越方向にほほ一致していることを明らかにした. また, 西宮-摩耶間 (神P1~P350) におけるRC単柱は, 外観から判断された損傷度は橋脚間で大きくばらついているものの, 残留傾斜をも考慮するとP35以西において一貫して被害が大きいことを示し, 例外的な箇所については定性的な解釈を加えた. さらに, 損傷度の高いRC単柱の損傷モードは, 橋脚質量を考慮して求めたせん断曲げ耐力比=1.0を境に, 曲げ損傷とせん断損傷に分かれることを被害の上から確認した.
  • 佐藤 忠信, 室野 剛隆, 西村 昭彦
    1999 年 1999 巻 612 号 p. 201-213
    発行日: 1999/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    構造物の耐震設計を行う上で, 基本的かつ重要な課題は地震動の設定である. 耐震設計用の入力地震動としての時刻歴波形を作成するためには, 振幅特性の他に位相特性を規定する必要がある. しかし, これまでのシミュレーション手法は, 振幅特性に重点がおかれ, 位相スペクトルについてはあまり研究されていないのが現状であった. しかし地震波の非定常性は位相特性と関連し, 震源特性と伝播経路特性における位相の変化特性を把握することが重要と考えられる. 本研究では群遅延時間に着目し, インパルス列の群遅延時間をモデル化するとともに, 最小位相推移関数の概念を用いて伝播経路特性の振幅スペクトルが与えられたときに, その群遅延時間を求める手法を検討した. さらに, この手法を兵庫県南部地震 (1995) および十勝沖地震 (1986) に対して適用しその妥当性を検証した.
  • 大橋 治一, 三木 千壽, 樋口 康三, 小野 秀一
    1999 年 1999 巻 612 号 p. 215-227
    発行日: 1999/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    吊橋において荷重集中点となるハンガー定着部では, 力を円滑に箱桁本体に伝達するため箱桁内には補強部材が取り付けられており, これらは箱桁を構成する主部材と交差する. またハンガー定着部の定着板とデッキとの接合部には, ハンガーによる鉛直力と, 床組作用として橋軸および橋軸直角方向の力が作用する. したがって, ハンガー定着部や定着板直下の部材交差部においては, 応力状態が複雑になるばかりでなく, 疲労上問題となることが考えられる.
    そこで本研究は, 箱桁吊橋のハンガーをピンで連結した定着構造に着目し, これら定着板接合部および定着板直下補強構造の応力伝達機構と疲労強度を確認し, 適切なディテールを検討した.
  • 北川 徹哉, 藤野 陽三, 木村 吉郎
    1999 年 1999 巻 612 号 p. 229-238
    発行日: 1999/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    塔状円柱の自由端近傍に発生する“自由端渦”が“高風速渦励振”を励起すると考えられている. 本研究では自由端渦の発生特性を調べるために, 円柱ロッキング模型の頂部に薄い円盤を設置して自由端近傍の流れを変化させることを試みた. 円盤の直径の増加とともに高風速渦励振の振幅は減少し, その発現風速は低風速側ヘシフトする傾向がみられた. 自由端近傍における後流風速変動の測定によって, この原因は自由端渦の発生が弱まると同時に, その周波数が増加するためであることを明らかにしている. また, 円盤の直径をある程度大きくすると, カルマン渦の放出周波数よりもやや低い周波数を有する渦の発生が自由端近傍において著しくなる. このことが応答に与える影響についても考察した.
  • 小畑 誠, 栗原 位充, 後藤 芳顯
    1999 年 1999 巻 612 号 p. 239-249
    発行日: 1999/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    阪神大震災後の示方書の改訂をうけて, 既設鋼橋に対する落橋防止対策として鋼板を使用た従来の連結板にかわりスリットを有する連結板を利用することが提案されている. スリット型連結板の特徴はピンがスリットを通過することで地震エネルギを吸収し, 同時に示方書に規定されている移動量内でけたの大きな移動を防ぐことができることである. このため塑性変形することを前提とした強度や変形特性を考慮して設計することが求められる. 本研究では延性に富む低降伏点鋼を連結板に利用することも視野に入れながら数値解析によるパラメトリック解析により強度や変形量に対する設計式を提案する. また延性破壊に対する安全性を数値解析により検討することも試みる.
  • 矢富 盟祥, 鱸 洋一
    1999 年 1999 巻 612 号 p. 251-263
    発行日: 1999/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    コンクリートや岩石などの脆性材料の破壊強度や, 地震発生メカニズムの解明の研究など, 圧縮荷重下にある進展き裂の破壊力学的考察は非常に重要である. そこで, 本研究ではその基礎的研究となる圧縮荷重下における進展き裂のエネルギ解放率を補ひずみエネルギ型E積分公式を用いた有限要素解析により求め, E積分の圧縮荷重下にある進展き裂解析の有効性を検証すると共に, エネルギ解放率破壊規準を用いて圧縮荷重下にあるき裂の進展挙動の考察を行った.
  • 年縄 巧, 山崎 宏晃
    1999 年 1999 巻 612 号 p. 265-274
    発行日: 1999/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 横浜市緑区のローム台地と沖積低地において地震観測, 常時微動観測を行い, 異なる地形間において地盤特性の比較を行った. 地震観測の結果, 台地上の観測点ではその直下の沖積低地と比較して, 最大速度値で1.5倍程度, フーリエ加速度振幅で2倍程度地震動強さが大きいことがわかった. この地震動増幅は, 上総層群上の厚さ10m程度の表層地盤によるものと考えられる. 常時微動のH/Vスペクトル比が地盤の共振周期や増幅特性を推定しうることを地震観測点で確認した後, 対象地域において常時微動の面的な観測を行った. その結果, 台地上では卓越周期は標高と良い相関があること, 地震動増幅が大きいと予想される地域は下末吉台地上と沖積低地上の川の流域であることがわかった.
  • 野田 茂, 小泉 智香, 星谷 勝
    1999 年 1999 巻 612 号 p. 275-286
    発行日: 1999/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    空間上の多地点にセンサーを設置すれば, あるブロックの最大地動などを正確に推定することが可能である. しかし現実には多くのデータを得ることは容易でなく, またデータには限りがある. そこで, 本研究では, 対数正規確率場を対象にして, 有限地点における観測データを基に未観測ブロックにおける平均的物理量の空間分布を推定する方法 (Block Kriging) を提案した. ここでは著者らによって提案された点推定 (Point Kriging) の結果と比較しながら, ブロックの大きさが最適推定値と推定誤差分散に及ぼす影響について分析した. その結果, ブロックの大きさの決定が推定結果に重大な影響を及ぼすこと, また Block Kriging と Point Kriging では異なる特性を示すことが明らかになった.
  • 堀田 毅, 内藤 純也, 西村 宣男
    1999 年 1999 巻 612 号 p. 287-296
    発行日: 1999/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, 道路橋鋼2主桁橋梁のコンクリート床版が硬化する前の架設系を対象として, 全体横ねじれおよび横桁間における主桁の横ねじれ座屈問題に対する安全性を検討する. 主桁間隔, 横桁間隔を変化させた全32ケースの2主桁橋について現行の設計法に基づいて断面寸法を決定し, 架設時構造系を対象として弾塑性有限変位解析を行う. 全体横ねじれ座屈と横桁間での主桁の横ねじれ座屈について, 適切な力学パラメータを設定し, 座屈強度と力学パラメータとの関係を考察する. また2径間連続桁で送出し架設を行った場合についても弾塑性有限変位解析を行い, 水平方向初期たわみの与え方や横ねじれ座屈および支点反力に対しての安全性についても考察を加える.
  • 田嶋 仁志, 半野 久光, 藤原 英之, 後藤 芳顯
    1999 年 1999 巻 612 号 p. 297-311
    発行日: 1999/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    単調載荷条件下での杭方式による矩形断面鋼製橋脚アンカー部の力学的挙動を明らかにするため大型模型実験を実施した. 同時に, アンカー部のモデル化について, 円形断面橋脚アンカー部で既に妥当性が確認されている Component Method と, 道路橋示方書に基本的に準拠したRC複鉄筋断面モデルの検証をおこなった. Component Method についてはここでもその妥当性が確認され, 汎用性のあるモデルであることが確認された. RC複鉄筋断面モデルについては, 材料構成則と平面保持仮定断面の設定をより実状に合致させることにより, 実挙動を比較的精度良く解析できることが判明した.
  • 田嶋 仁志, 半野 久光, 藤原 英之, 後藤 芳顯
    1999 年 1999 巻 612 号 p. 313-324
    発行日: 1999/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    矩形断面鋼製橋脚とフーチングコンクリートの結合部を対象とした大型模型を用いた繰り返し載荷実験を実施した. 実験結果より, 単調載荷の場合と比べて最大接合部モーメントは約20%低下し, 対応する相対回転角は60%減少した. しかしながら最大モーメント到達後のモーメント低下は小さく, 接合部は安定した挙動を示す. また, 本矩形断面橋脚アンカー部の実験結果をもとに動的解析で用いるアンカー部の復元力モデルとして後藤らによって提案された半実験モデルに基づく定式化をおこなった.
  • 山口 直也, 山崎 文雄
    1999 年 1999 巻 612 号 p. 325-336
    発行日: 1999/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    1995年1月17日発生した兵庫県南部地震は, 阪神・淡路地域に甚大な被害をもたらした. この地域での構造物被害を評価するためには, 地震動の強さの面的な分布を推定することが重要である. しかしこの地震では, 被害の激しかった地域で強震記録がほとんど得られておらず, 観測値のみからの分布推定は困難であり, 他の方法が必要となってくる. そこで本研究では, 被災地域全域にわたって同一基準で被災度判定を行っている建物被害調査結果を用いて, 低層建物と最大加速度, 最大速度などの地震動強さとの関係を調べ, 地震動強さに対する低層建物の被害推定式を構築し, 建物被害率による地震動強さの面的分布の逆推定を試みた.
  • 角本 周, 梶川 康男
    1999 年 1999 巻 612 号 p. 337-348
    発行日: 1999/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    橋梁の動的解析においては, 通常, 減衰定数は鋼やコンクリートといった橋梁を構成する主要材料から経験的に設定されている. 一方, 橋梁のモード減衰を橋梁各部のエネルギー吸収から理論的に算出する研究が近年行われており, 比較的良い精度で減衰定数を推定することが可能となってきている. 本研究は, 単径間PC吊床版橋を対象として, 実測された減衰定数の統計分析より床版のエネルギー吸収を推定し, 振動エネルギーに対するひずみエネルギーの比および床版の等価減衰定数よりモード減衰定数を評価する方法を提案したものである. さらに, 減衰定数の設定が歩行者通行時の動的応答に与える影響をパラメータ解析により検討するとともに, 振動使用性照査において工学的に必要となる減衰定数の推定精度について考察したものである.
  • 町田 文孝, 三木 千壽, 吉岡 昭彦
    1999 年 1999 巻 612 号 p. 349-357
    発行日: 1999/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    最近, 疲労損傷が発見されるようになってきた鋼I桁橋の主桁と横桁フランジの取付け構造について, 大型の梁試験体 (支間L=6.4m, 桁高H=1.044m) を製作して4点曲げによる疲労試験を実施した. 試験に採用した横桁フランジ取付け構造は, ウェブガセット継手および溶接部のスカラップ形状を変えた3種類の連結板貫通型構造とした. 試験の結果, スカラップを有する連結板貫通型構造の疲労強度はウェブガセット継手に比べ小さく, JSSCの疲労設計曲線G等級よりも小さくなっていた. また, スカラップの径が10mmのディテールに対し, 20mmの径を有するディテールの疲労強度は低かった. さらに, 純曲げ状態での疲労強度に対し, せん断力が作用することにより疲労強度はさらに低くなることが確認された.
  • 高橋 和雄, 木村 拓郎, 西村 寛史, 藤井 真
    1999 年 1999 巻 612 号 p. 359-371
    発行日: 1999/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    雲仙普賢岳の噴火災害 (平成2年~平成7年) において, 深江町立大野木場小学校が平成3年9月15日の火砕流によって焼失した. この校舎を災害メモリアルとして保存し, 地域の活性化に活用しようとする深江町復興計画が策定されたが, 学校用地が砂防指定地に含まれた. このため, 砂防ダムの位置, 保存の事業主体, 維持管理の主体, 砂防事業としての整合性などをクリアする必要が生じた. 関係者の間で各種の検討がなされ被災校舎の保存が確定した. ここでは, 小学校被災校舎の保存のプロセスおよび各種の課題を明らかにする.
  • 酒井 久和, 澤田 純男, 土岐 憲三
    1999 年 1999 巻 612 号 p. 373-378
    発行日: 1999/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    筆者らはこれまで, 時間領域における基盤入力地震動の推定手法に関する基礎的研究を進めてきたが, 本手法の現実問題への適用例として, 1995年兵庫県南部地震本震におけるポートアイランドのボアホール記録を対象に基盤入力地震動の分離を試みた. 解析モデルは1次元の集中質点系で, 地盤の非線形性は双曲線モデルを採用した. まず, 観測波から上昇波を誤差数%と高精度に分離できることが確かめられた. さらに, ポートアイランドG. L. -83m記録を基に基盤入力地震動の推定を行い, 等価線形化手法と比較することにより, 非線形解析に用いる基盤波の推定法として適していることが確かめられた.
  • 安波 博道, 名取 暢, 村越 潤
    1999 年 1999 巻 612 号 p. 379-384
    発行日: 1999/01/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本稿は, 1質点系構造物の非線形動的応答解析に用いる復元力特性について, 模型実験結果に基づきバイリニアモデル, 2パラメータモデルのそれぞれを円形断面鋼製橋脚 (鋼管柱) に適用する場合の適切なモデル設定法を検討したものである. 検討の結果, バイリニアモデルにおいては, 繰り返し載荷実験の履歴吸収エネルギーと近似するように降伏点座標を設定することにより, また, 2パラメータモデルにおいては, 繰り返し作用によるひずみ硬化の影響を考慮した復元力モデルのタイプを適用することにより, ハイブリッド地震応答実験の結果に近似する解が得られた.
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