抄録
本論文では, 水平反力分散形式橋梁のように, 橋脚の塑性ヒンジ化によって桁に生じる変位に比較してゴム支承の変形によって桁に生じる変位が大きい場合には, 橋脚系の応答塑性率に基づいて地震時保有耐力法により地震力を求めると過小評価となる場合があることを, 橋脚系塑性率と全体系塑性率の観点から検討した. この結果, 全体系塑性率は橋脚系塑性率に比較して1/3倍程度にしかならない場合があり, 荷重低減係数や変位増幅係数を求めるためには両者を峻別しておく必要があること, 荷重低減係数は全体系塑性率に基づいて求める必要があり, 橋脚系塑性率を用いて荷重低減係数を求めると, 地震力を過小評価することなどが明らかになった.