抄録
本稿は, 近年の大地震において被害を受けた配水用硬質塩化ビニル管を対象として, 特に接合部の耐震性向上に関する調査・研究を行った中の, 地震時地盤不等沈下に対する挙動実験と, そのシミュレーション解析についてとりまとめたものである. 地盤沈下実験では, 最大50cmの段差的な地盤沈下を埋設した硬質塩化ビニル管路に作用させ, 接合部の屈曲・伸縮挙動と管体の変形挙動を把握した.
その結果, 接合部の伸びにより管路に発生する軸ひずみが軽減されること及び接合部の離脱阻止機能が土中でも良好に作用することが確認された. また, 弾性床上の梁理論にもとづくシミュレーション解析では, 段差沈下箇所付近に過渡的領域を想定した場合の管路応答について考察を加えた.