抄録
自然間隙比状態の異なる2つの海成粘土を対象にして, 一次元圧縮過程および膨張過程における間隙径分布の変化を水銀圧入型ポロシメーターを用いて測定し, それらの圧縮・膨張特性に関わる間隙を定量的に評価し考察した. 実験結果より, 初期間隙状態では1μm径以上の間隙が60%以上を占めていること, 正規圧密過程と膨張過程ではメゾポア (1~10μm) の増減が主として関与していることを示した. また, 同一間隙比における乱さない試料と練返し再圧密試料は類似の間隙径分布特性を示すことを明らかにした. 実験に用いた有明粘土と広島粘土の圧縮特性の違いは, 1μm径以上の間隙量の差によるものであり, 前者は土の集合体間に働くセメンテーションの効果が広島粘土より大きいことに起因することを指摘した.