土木学会論文集
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1999 巻, 624 号
選択された号の論文の25件中1~25を表示しています
  • 張 国新, 杉浦 靖人, 長谷川 浩夫
    1999 年 1999 巻 624 号 p. 1-10
    発行日: 1999/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は, 著者らが改良を加えたマニフォールド法により, クラックの発生と伝達をシミュレーションしたものである. クラック端部の特異性を考慮した境界要素法により, クラックの応力拡大係数と伝達方向を求める. クラックの発生は, モール・クーロン則に従うものとし, ラックの進展は最大周応力方向に進むものとした. 本手法を静的および動的問題に適用したいくつかの解析例を紹介する.
  • グルング ネトラ, 岩尾 雄四郎
    1999 年 1999 巻 624 号 p. 11-20
    発行日: 1999/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    新しい引き抜きモデルは, 補強土の伸張に関する解析手法として提案されている. 引き抜きのメカニズムを表す非線形式は, 無次元で形状の異なる要素として扱われ, Guass-Siedel 手法を用いて算出されまた, 本手法の適応性は, その剛性や結合抵抗の広い範囲で認められてきた. 本論文は, 荷重と変位の関係, 引き抜き力の種類, 及び距離に伴う変位について論じる. また, 本モデルの解析結果をジオテキスタイル, ポリマー及びナイロンの補強材を用いた実験結果によって検証する.
  • 堀 宗朗, 小山 高寛
    1999 年 1999 巻 624 号 p. 21-30
    発行日: 1999/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文はグラウチングに対する二つの解析手法, モンテカルロシミュレーションを利用したフラクチャーネットワーク解析 (MSFN) とリアルタイムインバージョン解析 (RTIA) の妥当性を検証する. MSFNは所定の仕様のグラウチングによる改良効果を予測するもので, コンソリデーションとカーテングラウチングのシミュレーションの結果, 1) 注入圧-注入量関係, 2) ルジオン値の低下, 3) グラウト剤の流出, に関して実測データとある程度の一致をみた. RITAは計測された注入圧-注入量関係をもとにグラウト孔近くの水みちとグラウト剤到達距離を逆解析するもので, コンソリデーショングラウチングに対するシミュレーションを行った.
  • 堀 宗朗, 小山 高寛
    1999 年 1999 巻 624 号 p. 31-38
    発行日: 1999/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    グラウト技術の向上のためには合理的で信頼できる解析手法が必要である. 解析手法開発上の問題点を整理した上で, 本論文は, モンテカルロシミュレーションを利用したフラクチャーネットワーク解析 (MSFN) とリアルタイムインバージョン解析 (RITA) を提案した. MSFNは, 多数のフラクチャーネットワークの解析により, 与えられたグラウト仕様からルジオン値の空間分布を推定する. RITAは, 常時計測されているグラウト孔の圧力と注入量の関係の逆解析により, 水みちの状態やグラウト剤の到達距離を推定する. 入力データは計測されている地質データである. 解析手法の対象となる水みちモデルや仮定を説明し, 解析手法を厳密に定式化している.
  • 有川 究, 櫻井 春輔, 西岳 茂
    1999 年 1999 巻 624 号 p. 39-49
    発行日: 1999/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    トンネルを合理的に施工する工法として, 先受と加背割りとを併用した新しいトンネル施工法について, トンネル切羽の挙動や安定性への影響の評価を試みた. 本論では, 要素実験や数値解析で得られた結果を検証, 補間するとともに, 実際の地盤中での効果や影響を定量的に評価するため, 大型の土槽を用いて, トンネル切羽近傍地盤の3次元的挙動を把握する実験を実施した. その結果, 切羽応力の解放に伴う地盤の3次元変形特性を把握すると共に, 切羽安定に必要な限界支持力等を推定できること確認した. また, 筆者らが過去に要素実験を実施した切羽形状による切羽安定性の比較を行い, 先受や加背割りが切羽安定に効果的であることを確認した.
  • 大塚 正博, 山崎 剛, 日下部 治
    1999 年 1999 巻 624 号 p. 51-64
    発行日: 1999/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    有楽町下部粘性土中の泥土圧式シールド工事の3断面において周辺地盤とセグメントの変位を長期に亘り計測し, シールド通過時, テールボイド発生時およびそれ以後について, トンネル中心線上の鉛直変位を対象に, 特に裏込め注入有無による影響を定量的に検討した. その結果, 適切なチャンバー内圧管理によって切羽部での地盤変位は軽減させられること, セグメント鉛直変位は周辺地盤の鉛直変位に比べ小さいこと, および裏込め注入の有無によってテールボイド沈下量と沈下速度は影響を受けるが, 後続沈下速度には大きな影響を与えないことが明らかとなった.
  • 川村 志麻, 三浦 清一, 横浜 勝司, 宮浦 征宏
    1999 年 1999 巻 624 号 p. 65-75
    発行日: 1999/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    波浪のような繰返し力を受ける構造物支持地盤の動的力学挙動を調べるために, 外力の作用方向の異なる基本的な実験が二次元平面ひずみ土槽装置と種々の繰返し力を載荷可能な装置を用いて行われた. 一連の実験と解析から, 1) 波浪と構造物の相互作用によって誘発される構造物直下のせん断応力は地盤深さによってその大きさは変化するものの, 完全両振りの条件にある, 2) 波浪のような外力を鉛直及び水平方向に分担させた試験では, 通常の室内繰返しせん断試験と同様な結果の整理が可能である, 3) このような繰返し力を受ける構造物支持地盤の動的力学挙動を評価するには, せん断応力と外力の作用方向の適確な把握が極めて重要である, などの事実が示されている.
  • 川村 志麻, 三浦 清一, 横浜 勝司, 宮浦 征宏
    1999 年 1999 巻 624 号 p. 77-89
    発行日: 1999/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    波浪のような繰返し力を受ける構造物支持地盤の破壊機構とその防止策について, 種々の繰返し力を載荷可能な装置と二次元平面ひずみ試験土槽装置を用いて一連の実験を行い, 次のような結果を得た. 1) 波浪場にある地盤-構造物系の破壊は変形が徐々に進行するような側方流動型破壊を示す, 2) このような地盤破壊の防止策として, 構造物底部に側壁を設ける方法や地盤内に矢板を設置するような対策法は, 側方流動型の破壊阻止に一定の効果が期待できるが, その効果はそれらの形状及び設置条件によってかなり異なる. 本論文では, このような側方流動型破壊の基本的な阻止機構について詳細な検討が加えられている.
  • 内山 伸, 桂 豊, 嘉門 雅史
    1999 年 1999 巻 624 号 p. 91-100
    発行日: 1999/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    山留め掘削工事における山留め壁の変形抑制の一方策として,控え壁形状の地盤改良を取りあけた. 本論文は, 控え壁型地盤改良体による山留め壁の水平変位抑制の考え方を示すとともに, 遠心模型実験と実施工の計測を通じて実際の水平変位抑制の効果を検討した. 遠心模型実験では, 控え壁型地盤改良体の平面改良率と水平変位低減との関係から効率的な平面改良率が判明した. また, 実施工の計測結果より, 隣接する地盤改良体間の未改良地盤の変形が明らかになり, 地盤改良体間隔が狭い改良地盤は掘削過程で剛体的な挙動を示すことが判明した.
  • 木下 直人, 若林 成樹, 石田 毅, 中川 浩二
    1999 年 1999 巻 624 号 p. 101-112
    発行日: 1999/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    高温下において, 無拘束状態の稲田花崗岩と無拘束および拘束状態の三城目安山岩ブロックの熱応力による破壊実験を実施した. その結果, 熱応力による破壊挙動は, 岩石の種類や拘束条件によって大きく異なること, および導電ペイントを塗布する方法とAE位置標定の二つの方法を組み合わせることによって, 熱応力によるき裂の発生・進展の状況を把握できることが確認された. 同時に, 高温下室内岩石試験によって得られた物性値を用いた熱応力解析を行い, 熱破壊実験結果との対比・検討を行った. その結果, 岩石の熱破壊挙動を予測するために熱応力解析を行う場合には, 物性値の温度依存性, 特に熱膨張特性の温度依存性を考慮することが重要であり, そうすることによって, 熱応力による破壊の開始位置と時間を予測できることがわかった.
  • 矢島 寿一, 沼田 佳久, 中根 淳
    1999 年 1999 巻 624 号 p. 113-122
    発行日: 1999/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究では, 細粒分を含む砂質土の液状化特性を調べるために, 繰返し非排水三軸試験を行った. その結果, 細粒分を含む砂質土のひずみ両振幅DA=5%, 繰返し回数Nc=20で規定される液状化強度は, 相対密度一定条件では細粒分含有率20%付近で最小となることが判明した. しかし, この液状化強度評価方法では細粒分を含む砂質土の液状化強度をうまく評価していないことから, 液状化強度評価方法に限界過剰間隙水圧比 (Δu/σ'c)LT必を用い液状化強度を検討した結果, ひずみ両振幅DA=5%, 繰返し回数Nc=20や過剰間隙水圧比 (Δu/σ'c)=95%の液状化強度評価方法よりも細粒を含む砂質土の液状化強度をうまく評価できることが判明した.
  • 木村 定雄, 小泉 淳
    1999 年 1999 巻 624 号 p. 123-134
    発行日: 1999/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    自立性の高い地盤中に構築されるシールドトンネル覆工の合理的な断面力算定法について考察した. 模型実験ではトンネル模型を砂箱中に埋設して砂箱に取付けた可動載荷板を押し引きして水平載荷し, トンネルに作用する土圧およびトンネルに生じる変形やひずみを計測した. 実験結果から, 覆工の変形に従属して定まる土圧を定量的に把握し, 覆工とその周辺地盤との相互作用を評価した. また, トンネルの挙動は地盤を線形なばねにモデル化した全周地盤ばねモデルにより表現でき, 地盤のばね定数は地盤が受働側や主働側となる場合の地盤特性から推定できることを確認した. さらに, 二次元弾性FEM解析によりシミュレーションを行い, 受働側や主働側の地盤ばね定数が地盤中の応力集中の程度や領域を把握することで評価できる可能性を示した.
  • 樋口 貴也, 青木 恒, 石原 研而, 塚本 良道, 桝尾 孝之
    1999 年 1999 巻 624 号 p. 135-144
    発行日: 1999/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    加圧型大型可動壁模型土槽装置に, ジオグリッドで補強された密度の異なる豊浦砂の補強地盤を作成し, サーチャージを載荷後, 側壁を可動させることにより, 土圧の変化とジオグリッドのひずみを測定したものである. ジオグリッドの敷設方法は, 高さ1mに3枚を水平に敷設したものと無補強について, 実験を行った. 試験の結果, 土圧は, 可動壁の移動量が大きくなるにしたがって小さくなり, 補強土の方が, 無補強に比べて小さい変位で土圧の軽減の程度が大きい. また, ジオグリッドのひずみは, 可動壁の移動量が大きくなった. どの敷設方法においても可動壁移動にともなう壁面土圧の低下量とジオグリッドに発生する引張り力の比較を行うことにより, 密度の異なる地盤の補強メカニズムの違いについて考察を行っている.
  • 何 川, 小泉 淳
    1999 年 1999 巻 624 号 p. 145-164
    発行日: 1999/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は地震動がシールドトンネルの軸直角方向に作用する場合を対象に, 模型振動実験を行い, この結果と広義の応答変位法による解析結果とを比較して, トンネルの振動特性, トンネルと地盤との相互作用, トンネルの構造モデルの妥当性等を検討したものである. 模型振動実験は, 不整形地盤中にトンネルが構築された場合を対象にして, 実物のシールドトンネルをその縦断方向の構造特性を基に, 相似則を用いてモデル化した上で. トンネル全体の剛性の違いによる挙動に着目して行った. 一方解析には, 筆者らの提案しているシールドトンネルの縦断方向の構造モデルを用いて, これに広義の応答変位法を適用した. 解析に用いた入力変位は三次元動的FEMと重複反射理論との2通りの方法により算出している.
  • 何 川, 小泉 淳
    1999 年 1999 巻 624 号 p. 165-181
    発行日: 1999/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本論文は地震動がシールドトンネルの軸方向に作用する場合を対象に, 模型振動実験と広義の応答変位法による解析を行い, トンネルの振動特性, トンネルと地盤との相互作用, トンネルの構造モデルの妥当性, 入力変位の算出方法の違いが解析結果に与える影響等を検討したものである. 模型振動実験は, 不整形地盤中にトンネルが構築された場合を対象にして, 実物のシールドトンネルをその縦断方向の構造特性を基に, 相似則を用いてモデル化した上で, トンネル全体の剛性の違いによる挙動に着目して行った. 解析には, 筆者らの提案しているシールドトンネルの縦断方向の構造モデルを用いて, これに地震動が軸方向に作用する場合の広義の応答変位法を適用した.
  • 池川 洋二郎, 伊藤 洋, 大西 有三
    1999 年 1999 巻 624 号 p. 183-190
    発行日: 1999/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    岩盤地下空洞や斜面において崩落の危険がある箇所は, 挙動監視を必要とする場合がある. このため計測点に計測機器や標点などの設置を不必要にする安全な遠隔からの変位計測手法の開発が望まれている.
    ここでは地下空洞を対象とする遠隔計測の新手法を紹介する. 計測原理は岩盤面に投影したレーザースポットを別の角度から撮影することによって形成される空間中の三角形を用いて, スポット点の3次元座標を求めるものである. この原理を応用して複数点を逐次的に計測する変位のモニタリング装置の開発を行った. さらに, トンネルで行った精度検証の結果から実用性を示した. 以上より計測が困難である 岩盤の崩壊挙動の解明が進むことが期待される.
  • 竹下 祐二, 中澤 一磨, 福田 大樹, 河野 伊一郎
    1999 年 1999 巻 624 号 p. 191-201
    発行日: 1999/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    室内不飽和透水試験データから飽和透水係数および不飽和浸透特性パラメータを同時に, 安定かつ簡便に算定できる非定常解析手法の開発を目的として, 生物の進化の過程である自然淘汰・交叉・突然変異を模した多点探索法である遺伝的アルゴリズムと非定常浸透流解析手法とを組み合わせた方法を提案した. 本方法によれば, 不飽和浸透特性の関数モデルに含まれる複数個のパラメータの推定問題を組み合わせ最適化問題としてとらえ, 推定解の候補として事前に構築した膨大なパラメータ群の中から, 実用解を安定して算定することが可能となる. 本方法の有効性は van Genuchten の提案した不飽和浸透特性の関数モデルとまさ土試料による不飽和透水試験データを用いて吟味した.
  • 三浦 哲彦, 山寺 彰, 日野 剛徳
    1999 年 1999 巻 624 号 p. 203-215
    発行日: 1999/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    自然間隙比状態の異なる2つの海成粘土を対象にして, 一次元圧縮過程および膨張過程における間隙径分布の変化を水銀圧入型ポロシメーターを用いて測定し, それらの圧縮・膨張特性に関わる間隙を定量的に評価し考察した. 実験結果より, 初期間隙状態では1μm径以上の間隙が60%以上を占めていること, 正規圧密過程と膨張過程ではメゾポア (1~10μm) の増減が主として関与していることを示した. また, 同一間隙比における乱さない試料と練返し再圧密試料は類似の間隙径分布特性を示すことを明らかにした. 実験に用いた有明粘土と広島粘土の圧縮特性の違いは, 1μm径以上の間隙量の差によるものであり, 前者は土の集合体間に働くセメンテーションの効果が広島粘土より大きいことに起因することを指摘した.
  • 八嶋 厚, 重松 宏明, 岡 二三生, 長屋 淳一
    1999 年 1999 巻 624 号 p. 217-229
    発行日: 1999/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    ブロックサンプリングによって採取した良質な大阪洪積粘土試料を用いて, 一連の室内実験 (標準・等方圧密試験, CIU・CID試験) を実施した. これらの実験結果から, 標準圧密などの限られた応力径路のみではなく, せん断過程を含む幅広い応力径路での変形・強度・降伏特性を把握した. また, 今まで概念的にのみ捉えていた粘土の微視的構造を走査型電子顕微鏡 (SEM) を用いることにより可視化し, 年代効果によって発達したリンク構造と力学特性が密接に関連していることを理解した.
  • 蒋 宇静, 中川 光雄, 江崎 哲郎
    1999 年 1999 巻 624 号 p. 231-243
    発行日: 1999/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    不連続性岩盤内に立地する岩盤構造物の変形挙動や安定性を, 不連続体解析手法を用いて適切に評価し, 調査・設計へ導入するには, 岩盤不連続面の変形・強度特性を正確に表現する不連続面挙動モデルと挙動を規定する特性値の決定が不可欠となる. 本論文は, 岩盤不連続面の力学的挙動特性を室内試験により求める方法を基本として, 個別要素法などの不連続体解析手法のための不連続面挙動モデルとその特性値を決定する一連のプロセスを示す. また, 代表的な特性値の1つであるせん断剛性を, 実際のせん断挙動を忠実に評価するために非線形として取り扱った場合の, 変形挙動に与える影響を明かにすることを試みる.
  • 楠見 晴重, 芦田 譲, 西田 一彦, 江原 竜二
    1999 年 1999 巻 624 号 p. 245-253
    発行日: 1999/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    沖積粘土層上もしくはその地中に構造物を建設する場合, セメントミルクと粘土を機械的に攪拌させて地盤改良を行う工法がよく用いられている. しかし, この工法の改良効果の判定は, ボーリングによるサンプリングによってのみ行われている. 本研究は, この工法によって改良された薄層状の改良部分の改良効果と連続性を言平価する手法として, S波反射法による手法を確立するためにシミュレーション解析, 特に低速度地盤中にある高速度を有する薄層の探査手法について検討した. 更に実際の機械攪拌工法による地盤改良現場において, シミュレーション解析結果で得られた検討結果を用いてS波反射法を実施した結果について検討した.
  • 豊田 浩史, 高貝 真
    1999 年 1999 巻 624 号 p. 255-266
    発行日: 1999/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近年, 迅速かつ簡単に施工できる3ヒンジアーチとテールアルメ工法を用いた盛土の施工例が増えてきている. この土構造物は柔な構造で, 静的には海外においても多くの検討が重ねられているが, 地震を想定した動的な問題に関しての検討はまだ不十分であり, データの蓄積も乏しいのが現状である. そこで本研究では, 模型振動実験によりこの土構造物の振動特性について調べる. また, 入力加速度とアーチ部材にかかる動的応力, テールアルメ壁の変位との関係についても調べ, この構造物の地震時安定性について評価する. このようにして得られた実験結果をもとに, 2次元地震応答解析法の適用性について検討を行う.
  • 加藤 一志, 堀越 研一, 松本 樹典, 日下部 治
    1999 年 1999 巻 624 号 p. 267-282
    発行日: 1999/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    本研究は, スタナミック試験結果から静的な荷重~変位関係を推定するための試験データの解釈法を体系化し適用分類を定めることを目的として, 解釈法に考慮すべき事項を載荷時の杭の貫入抵抗力の発揮状況の分析より検討し, また, 各種の解釈法を同一試験データに適用しその結果と静的載荷試験結果との比較より解釈法の適用性を考察した. さらに, 杭体を一質点とし杭の地盤抵抗力を周面と先端に分けてモデル化する新しい解釈法を考え, その適用性も検討した. これらの結果から, 各解釈法の特徴と解釈から得られる情報を整理し, 解釈法の適用分類をまとめた.
  • 尾崎 哲二, 下垣 久, 塩月 隆久, 吉田 恒夫
    1999 年 1999 巻 624 号 p. 283-291
    発行日: 1999/06/21
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    工業団地造成地内の調整池の完成直後, 底面のたまり水が強酸性を呈していることが発見された. 調査した結果, 底面に露出した泥岩層 (新第三紀堆積岩) に存在するパイライト (黄鉄鉱, FeS2) に起因する硫酸イオンの生成によるものであった. 対策工として底面に遮断層を設ける方法を提案した. 具体的な工法の選定にはVE手法を用い, 最終案として酸性化した表土をはぎ取り, そこに良質土 (場内発生の客土) とセメント系固化材を混ぜた改良土による遮断層を設置する工法を選定した. 試験施工を実施し, 対策工の妥当性を確認するとともにデータをもとに施工仕様を決定した. 対策工の実施後調整池は湛水されたが, 5ヶ月を過ぎる頃から水のpHは安定し次第に7付近に収束していることが確認された.
  • 龍岡 文夫, 川崎 了, 西 好一, 岡本 敏郎
    1999 年 1999 巻 624 号 p. 293-297
    発行日: 1999/06/21
    公開日: 2010/08/24
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