抄録
東北日本においては, 厳冬期から春先にかけて岩石の凍結融解に起因する岩盤斜面の崩落が問題となっている. そうした崩落の予測を可能ならしめるためには, 凍結融解による岩石・岩盤の劣化特性を定量的に把握する必要がある. 本研究では, 大谷石を用いた凍結融解実験を行い, 飽和度の違いによる空隙率の増加の差を調べ, それに伴う弾性波伝播速度, ヤング率, 一軸圧縮強度の低下などを調べた. そして, 凍結融解による劣化の程度は間隙水の飽和度に大きく依存すること, また, それら力学特性値が, 測定時の供試体内部の水の有無によって大きく影響されること, しかしながら, その低下の割合は水の有無によらず, 空隙率の増加の割合を説明変数として定量的に評価し得ることなどを確認し, その定量表現を与えた.