抄録
高レベル放射性廃棄物を地層処分すると廃棄体からの放熱, 周辺岩盤から人工バリアへの地下水の浸入, 地下水の浸入による緩衝材の膨潤圧の発生などの現象が相互に影響することが予想される. このような, 熱-水-応力連成現象を評価することを目的に, 地下原位置試験場において連成試験を実施した. 試験坑道床盤に掘削した試験孔にベントナイトおよびヒーターを設置し, ヒーターによる加熱および試験坑道床盤に設置したプールによる地下水の浸潤により実岩盤条件下での連成現象を再現し, 温度, 含水比, 間隙水圧, 応力, ひずみ等のデータを取得した. また, 熱-水-応力連成解析モデルにより試験結果を解析的に評価した結果, 温度分布, 緩衝材内の含水比変化等に関しては試験結果と解析結果でほぼ良い一致が得られた.