2023 年 98 巻 2 号 p. 101-103
国内において関東以西から報告されていたトサノゼニゴケMarchantia papillata Raddi. subsp. grossibarba (Steph.) Bischl.(ゼニゴケ科)を北海道有珠山で確認した.本亜種は有珠山では噴気孔周辺の土壌上に生育していた.近縁のテガタゼニゴケとは腹鱗片の附属物が三角形から五角形になり,縁には単細胞性の鋸歯持つことなどの特徴で区別される.今回の発見によって,トサノゼニゴケがより高緯度地域に分布することが明らかになるとともに,国内ではこれまで暖温帯に生育することが知られていたが,冷温帯の噴気孔周辺に生育することが確認された.