抄録
公共事業の効率化・透明性を高める努力の一つとして費用効果分析の導入が進められている. この中で, 市場の存在しない環境財の価値をどのように評価するかが, 重要な課題の一つとなっている. そのようなものを評価する手法としてCVM (Contingent Valuation Method) が注目されているが, その信頼性には様々な疑問が呈されている. そこで, 本研究では, 問題の一つである評価の際の考慮範囲の大小による影響について, 船舶事故による流出油対策に対するCVMの適用事例をもとに分析を行った. その結果, 回答者は考慮すべき複数の要素に対して整合性が保たれた思考をしていない可能性が高いことが判明した. そのため, その問題に対処するための便法を考案した.