豪雨による都市部の氾濫プロセスが解析できる数学モデルを開発した. ここで扱ったモデルは, 道路網を開水路網と見立てる1次元ネットワークの計算法を基にしたものであり, 市内河川も地盤が低い道路とみなしてこれを開水路網に組み込んでいる. 都市域近郊の山地領域からの流出解析により算出された流出流量をネットワークモデルの上流端境界条件とし, 都市域内に降る雨も流入流量とみなす扱いをしている. また, 下水道モデルについては, 市街地の中の幹線下水道で, 終端にポンプ場を有するものを考慮している. 本モデルを京都市内の中心域に適用したところ, 本モデルは豪雨時の氾濫プロセスを詳細に表現することが可能であることが確認された. また得られた計算結果は, 過去の氾濫実績とおおむね一致するものであった.